JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT16] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、Ki-Cheol Shin(総合地球環境学研究所)、山下 勝行(岡山大学大学院自然科学研究科)

[HTT16-08] タイ東北部コラートから発見された後期中新世の哺乳類化石の安定同位体分析(予報)

*日下 宗一郎1西岡 佑一郎2Duangkrayom Jaroon 3Jintasakul Pratueng3國松 豊4 (1.東海大学、2.ふじのくに地球環境史ミュージアム、3.Nakhon Ratchasima Rajabhat Univ.、4.龍谷大学)

キーワード:安定同位体、哺乳類、化石、中新世

タイ東北部ナコンラチャシマ県(コラート)のムン川沿いにあるターチャン採砂場からは,哺乳類化石が多数発見されており,後期中新世の化石群集中からオランウータン亜科のコラートピテクスが報告されている。現生オランウータンに繋がる大型類人猿の進化過程を復元するためには,その生息環境を推定することが重要である。そこで,本研究は,哺乳類化石の炭素・酸素同位体分析を行うことで,後期中新世の古環境を復元することを目的とした。
 資料は,ナコンラチャシマ県チャルームプラキアット郡にあるタクッコンとプラプット地域の採砂場から産出した哺乳類化石の歯である。デンタルドリルを用いて歯のエナメル質から約3mgの試料を削った。試料を酢酸緩衝溶液(0.1N, 30min)で洗浄後に乾燥させた。そしてガスベンチII―質量分析装置(GasBenchII-IRMS)を用いて,炭素・酸素同位体比を測定した。
 炭素同位体比の測定の結果,ほとんどの化石種においてC3植物食の値を示した。しかし,カバ科と長鼻目の一部がC3/C4の混合食の値を示した。酸素同位体比は,半水棲と考えられるカバ科において低い値を示した。これらの結果は,後期中新世前期のコラートにおいて,森林が大部分を占めており,河川流域にC4植物が存在していた古環境が推定される。