JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 浅部物理探査が目指す新しい展開

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、青池 邦夫(応用地質株式会社)、横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、井上 敬資(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)

[HTT18-01] センブランスの空間分布に基づいた埋設管位置の自動推定

*青池 邦夫1小河原 敬徳1高橋 一徳1 (1.応用地質株式会社)

キーワード:地中レーダ、三次元探査、埋設管

近年、都市地盤に錯綜する地中埋設物などの社会インフラを維持・管理するためにBIMの導入に期待が高まっている。これまでも埋設物等は、施設管理者の簡単なデータベースで管理してきたが、埋設物の有無や種類はわかっていても、位置が不正確であることに問題があった。したがって、埋設物の正確な位置を調査し3次元モデルを再構築することはBIMにとって重要であり、かつ低コストで実現することも要求されている。この課題を解決するため、我々はセンブランスを使った埋設管の単純な3次元の解析方法を開発した。我々は、埋設物探査のための実験施設を用いて取得したデータにこの方法を適用した。本研究ではこの結果について報告する。埋設管に対して横断方向に測定して得られたBスキャン画像上には、双曲線が現れる。対照的で連続的なパターンは自然地盤には珍しく、埋設管特有であるため、埋設管からの反射波は識別しやすい。物理探査技術者は、これまでこの特性を利用して埋設管の位置をマッピングしてきた。ここで、観測される双曲線が点反射体からの走時曲線であると見なすとすると、その走時曲線に沿って計算されるセンブランスが最大になるように伝搬速度を求めることができる。我々はその伝搬速度を見掛け速度と呼ぶことにする。我々は2つの実験サイトで稠密な地中レーダ探査を実施し、埋設管を解析した。測線は縦断方向だけでなく横断方向にも配置した。このデータを用いて、センブランスが最大になるように見掛け速度を探索し、センブランスの空間分布から極大点を抽出した。得られたセンブランスの点群は、埋設管からの反射波だけでなく、ほかに土壌中の散乱体も含まれたものの、埋設管による点はセンブランスがより高い傾向にあった。調査測線が地中の円筒管の方向に対して直交する場合の走時曲線をシミュレーションした結果、点反射とほとんど等価であることが示されたが、測線と円筒管の交差角が45°まで閉じてくると、見掛け速度は実際の速度の1.5倍程度を示した。我々は、埋設管の点群のみを通過させるフィルタリングを試みた。シミュレーションした見掛け速度範囲で拘束して、高いセンブランス値の2点間を結ぶ直線上に並ぶ点の数が最大になるような点群を検索し、そして孤立点を削除した。その結果、自動的に埋設管の点群を抽出することができた(Fig. 1)。次の課題として、フィルタリングした点群を埋設管毎のグループにクラスタリングし、管の規格に応じたオブジェクトを挿入することを計画している。我々は今クラスタリング手法を開発している。再構成される3Dモデルの深度の推定誤差は、測線と埋設管の交差角を考慮することによって伝搬速度の精度が高くなるので、改善すると考えている。