JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 浅部物理探査が目指す新しい展開

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、青池 邦夫(応用地質株式会社)、横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、井上 敬資(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)

[HTT18-P03] 後生掛地熱地域における浅部物理探査

*多田 悠也1坂中 伸也1竹井 瑠一1森脇 知哉1上地 正悟1鈴木 信平1生田 慎二1 (1.秋田大学)

キーワード:地中レーダー、電気探査、後生掛、泥火山

後生掛地熱地域の泥火山は、秋田焼山の火山活動に関連する高温性泥火山である。付近には、噴気、温泉など活発な地熱活動が確認できる。2016年秋、泥火山の噴出により遊歩道の一部が破壊され、通行止め区間を生じた。これのため、防災上の観点から、潜在泥火山の特定を目的とした調査を行った。

本フィールドでは、これまでに地中レーダー探査が行われており、測線の一部で局所的に明瞭な反射群が現れることが報告されている(井上ほか、2019)。これまで、比抵抗と充電率の取得を目的として、ダイポール・ダイポール配置による電気探査を複数回試みたが、十分な電位差をとることが出来ないため、データの品質に問題が残っていた。今回はウェンナー・シュランベルジャー配置による多電極電気探査を行い、より高品質な比抵抗断面を得ることに成功した。機材にはIRIS社製SYSCAL PROを用い、電極間隔2 m、48chの2測線で探査を行った。この結果から、表層の高比抵抗層の厚い箇所でGPRの反射が明瞭となることが判明した。

また2019年は、著しく白色変質したエリアに存在するMud potを横切る測線を新たに設定した。地下4 mほどの極浅部を対象とし、電極間隔0.75 m、32chで、ウェンナー配置にて多電極電気探査を行った。機材には応用地質社製のHandy-Armを用いた。探査の結果からこのエリアの直下には、1 Ω・m以下の低比抵抗が存在することが明らかとなり、高温性泥火山との関連性の解明が期待される。

加えて、後生掛自然研究路の遊歩道沿いで自然電位の測定を行った。電極には銅-硫酸銅電極を用い、約30 mの間隔で計47地点の電位を測定した。測定の結果から、オナメモトメ及び大湯沼付近では正の異常が見られた一方、東側に位置する大泥火山付近では負の異常が見られ、その差は最大で85 mVであった。自然電位については、より詳細なデータを再度測定する予定である。