JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT18] 浅部物理探査が目指す新しい展開

コンビーナ:尾西 恭亮(国立研究開発法人土木研究所)、青池 邦夫(応用地質株式会社)、横田 俊之(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、井上 敬資(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)

[HTT18-P11] 地中レーダを用いた繰り返し調査によるコンクリート床版の滞水域の把握

*尾西 恭亮1小林 貴幸1松本 直士1野田 翼1 (1.国立研究開発法人土木研究所)

キーワード:地中レーダ、コンクリート床版、タイムラプス調査

橋梁床版は,滞水や輪荷重を要因として土砂化が発生し,急速に劣化が進行する場合があることが知られている。オーバーレイで修復した下部において劣化が進行し,目視点検では検出が難しい事例も存在する。このため,非破壊で調査する手法の開発が望まれている。地中レーダは,比較的分解能が高く,有望な調査手法のひとつと考えられている。しかし,地中レーダの異常域を橋梁床版の損傷域と特定する方法では,合致しない場合がある。これは,地中レーダの反射波の位相の相違が損傷以外の様々な状況(滞水,舗装厚,舗装種類,舗装の起伏等)の影響を含むためである。そこで,繰り返し調査による変化域を抽出する方法を提案する。土砂化の発生要因には水分が影響している。コンクリート床版の水分率は一定しておらず変化することが想定される。乾燥期と降水後の記録を比較すれば,水分率が大きく変化する箇所を特定することができる。本報告では,はじめに試験用の床版モデルを用いた水分量が変化する前後の記録の解析による水分浸透範囲の特定結果を示す。さらに,実際の供用中の橋梁における水分供給前後の記録の解析による水分浸透範囲の推定結果を示し,損傷域との比較結果を示す。この結果,差分処理により水分の変化域が明瞭に捉えられることがわかった。ただし,解析に使用する記録の測定点の高い位置精度が求められる。