JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT19] 地理情報システムと地図・空間表現

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、田中 一成(大阪工業大学工学部都市デザイン工学科)、中村 和彦(東京大学)

[HTT19-02] WebGIS と R を使った環境汚染物質の区間推定の地図表現

*山川 純次1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:WebGIS、jSTAT MAP、クリギング、PM2.5、Oxidant

地球統計学の手法を使って推定した環境汚染物質の空間分布をGISを使って検討する場合,点推定 (Point estimation) ではなく区間推定 (Interval estimation) が必要になる。これは環境汚染物質の分布と他の地理情報や国政調査などの統計情報を比較する場合に,地球統計学の手法による推定の精度が重要となるからである。地球統計学の手法の一つである Kriging法を使って空間分布を推定すると推定値の分散から信頼区間を得ることができる。そこでこれを WebGIS 使って表現する手法を検討した。

今回対象とした地域は岡山県岡山市で,対象とした環境汚染物質はPM2.5 (2015年) と Oxydant (2006年) である。濃度データは国立環境研究所により公開されている観測値(年平均値)を利用した(http://www.nies.go.jp/igreen/) 。解析に必要な地理情報データは政府系オープン データである JPGIS (国土地理院, 2019)を使用した。地理統計解析には GNU R (R core team, 2019)を使用した。WebGIS は jSTAT MAP (総務省統計局, 2019)を使用した。

環境汚染物質の濃度観測データの空間依存性はバリオグラムを使って推定し,これに基づいてクリギング法により対象地域全体の濃度推定値とその分散を得た。推定に使用するメッシュグリッドは jSTAT MAP での利用を考慮して 3次メッシュコードを直角座標系に変換したものを使用した。そして得られた濃度推定データとその分散を jSTAT MAP に取り込み信頼区間の地図表現を行った。

jSTAT MAP で表現された環境汚染物質の信頼区間は,jSTAT MAP が備えている各種の地理情報や統計情報との比較に於いて有効であった。地球統計解析では観測点の数に加えてその配置も重要であるが,今回得られた地図表現は優先すべき追加観測点の検討に利用できる。また環境アセスメントの公聴会等に於いて汚染物質の空間分布とその信頼性を一度に示すことが可能であり利便性が高いと思われる。さらに jSTAT MAP は WebApp であるため,これらの表現が Webブラウザのみで実行可能である。今後は地球惑星科学の研究分野でも利用が進むものと思われる。