JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-AG 応用地球科学

[M-AG44] 福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態

コンビーナ:津旨 大輔(一般財団法人 電力中央研究所)、高橋 嘉夫(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、恩田 裕一(筑波大学アイソトープ環境動態研究センター)、北 和之(茨城大学理学部)

[MAG44-P15] 福島の河川下流‐極沿岸‐沖合にかけての溶存態及び懸濁態の放射性セシウム分布:河川懸濁粒子による溶脱の寄与について

*高田 兵衛1青野 辰雄2青山 道夫3帰山 秀樹4井上 睦夫5 (1.福島大学、2.量子科学技術研究開発機構、3.筑波大学 、4.水産研究・教育機構、5.金沢大学)

キーワード:海岸線、河川懸濁粒子、溶脱

福島第一原発(FDNPP)事故から8年経過してもなお、福島県の陸域と海域の境界領域である極沿岸での海水中溶存放射性セシウム(Cs)が高い要因を探るために、同県の河川下流から隣接する海岸線沿いの極沿岸および沖合にかけて、 2019年6月から9月の台風前の期間と2019年の台風19号直後(10月中旬)の調査を行った。その結果、河川や沖合に比べて、極沿岸において懸濁態および溶存態放射性Cs濃度が高い傾向が海岸線に沿ってFDNPPから南に60 km以上続いていた。これは、FDNPPの施設からの継続的な漏洩と、海岸線に沿った南向きの沿岸流による輸送、地下水等からの影響に加え、極近傍での河川懸濁態粒子からの放射性Csの溶脱による寄与が考えられる。 これは、水-粒子間の分配係数Kdが河川(淡水)から極近傍(海水)にかけて急激に減少することからも示唆される。また、極沿岸で見られた溶存態放射性Cs濃度のうち溶脱によって付加された割合を推定したところ、台風前に比べ、台風通過直後で大幅に増加した。