JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI33] Data assimilation: A fundamental approach in geosciences

コンビーナ:中野 慎也(情報・システム研究機構 統計数理研究所)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、三好 建正(理化学研究所)、宮崎 真一(京都大学理学研究科)

[MGI33-P02] 大気海洋結合同化システムにおける気象変動時間スケールの海面水温と降水の相関関係の強化

*藤井 陽介1小林 ちあき1石川 一郎1高谷 祐平1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:結合同化、結合再解析、大気海洋相互作用、海面水温、降水

気象研究所では気象庁の現業システムを用いて弱結合同化システムMRI-CDA1の開発し、2013年1月から2015年12月にかけての結合再解析実験を実施した。そして、気象変動の典型的な時間スケールである1-10日の時間スケールについて、海面水温と降水の相関関係について解析を行った。その結果、特に熱帯域で、海面水温変動は1日後の降水の変動と正の相関を示し、降水の変動は一日後の海面水温の変動と負の相関を示した。すなわち、海面水温の上昇が大気の対流を活発化させ、大気の対流が海面水温を低下させていた。この相関関係は、従来用いられてきた非結合の大気再解析の降水場と外部強制として与えた海面水温データとの間ではほとんど見られない。また、海面水温データをこの大気再解析で駆動された海洋データ同化システムの海面水温で置き換えると、相関関係は再び見られるが結合同化システムで見られた相関関係よりは弱くなる。つまり、従来の大気再解析と比べ、結合同化により降水と海面水温の相関関係が強化されている。さらに、海面水温データを結合再解析の海面水温と置き換えても、降水と海面水温の相関関係はやはり弱くなる。これは、結合再解析では、降水場が変化し海面水温場に適応することにより、降水と海面水温の相関関係が強化されていることを意味する。このことは、より長い(季節内の)時間スケールでは、降水場はほとんど変化せず、海面水温場が降水場に適応することにより降水と海面水温の相関関係が強化されるのと対照的である。ここで示された結合同化の降水と海面水温の相関関係を強化する効果は、非結合の大気再解析に比べ降水場の精度を改善させるかもしれない。