JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI40] 計算科学による惑星形成・進化・環境変動研究の新展開

コンビーナ:林 祥介(神戸大学・大学院理学研究科 惑星学専攻/惑星科学研究センター(CPS))、小河 正基(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、井田 茂(東京工業大学地球生命研究所)、草野 完也(名古屋大学宇宙地球環境研究所)

[MGI40-08] 微惑星の現実的な合体条件

*柴田 雄1小久保 英一郎1,2細野 七月3,4 (1.国立天文台、2.東京大学、3.海洋研究開発機構、4.理化学研究所)

キーワード:惑星形成

地球型惑星、氷惑星、ガス惑星のコアは微惑星の集積により形成されたと考えられている。微惑星衝突時の正しい合体条件を用いて微惑星の集積過程を調べたN体計算による研究は存在せず、過去の研究でも原始惑星の合体条件を用いていた。微惑星の集積過程を正しく知るためには、跳ね返りを考慮するために微惑星の現実的な合体条件を明らかにする必要がある。本研究では、Smoothed Particle Hydrodynamicsを用いて未分化岩石、未分化氷微惑星および分化氷微惑星を数値的に衝突させることで、合体と跳ね返りを分ける条件を調べた。
衝突させる微惑星の総質量、質量比、衝突速度、衝突角度をパラメータとして変化させる。
最大破片の質量が急激に変化する衝突速度を合体と跳ね返りの境目の臨界衝突速度と定義した。本研究では、合体条件として臨界衝突速度を求める。脱出速度で規格化された臨界衝突速度は微惑星の質量比と衝突角度に依存する。ターゲット質量がインパクター質量に対して増加すると、脱出速度で規格化された臨界衝突速度は減少する傾向が見られた。また、正面衝突の衝突角度を0°と定義した場合、臨界衝突速度は衝突角度の増加に対して減少する傾向となった。
また、臨界衝突速度は微惑星の総質量に依存しない。
今回求めた条件は微惑星の組成や内部構造にほぼ依存しない。
以上の結果から、臨界衝突速度を微惑星の質量比と衝突角度の関数として定式化した。これにより、N体計算を用いた微惑星集積過程の研究において、より現実的な衝突を見ることができる。
本講演では合体条件に関する結果を紹介し、N体計算に適用した場合に於ける過去の研究からの集積過程の変化について議論する。