[MGI41-08] フェーズドアレイ気象レーダーのリアルタイム観測データの利活用
キーワード:フェーズドアレイ気象レーダー、観測ビッグデータ、リアルタイムデータ処理、データ利活用
ゲリラ豪雨や竜巻突風などの早期探知と予測を目指して開発したフェーズドアレイ気象レーダー(PAWR)は、100m分解能(半径60 km、高度15 km)、300方位角(360°)、100仰角(0-90°)の詳細な3次元観測を30秒で行い、従来のパラボラアンテナ型気象レーダーの100倍のデータレートで観測データを生成する。この観測ビッグデータをリアルタイムで活用することが、突発的な気象災害の被害軽減のためには非常に重要である。吹田・神戸・沖縄に設置された3台のPAWRのリアルタイム観測データは、高度2 kmの反射強度を示すクイックルック(QL)画像として観測終了後1分以内にWebページ(https://pawr.nict.go.jp/)で公開している。さらに、スマホアプリ「3D雨雲ウォッチ」および3Dナウキャストによる「理研天気予報」において、30秒毎の3次元データがリアルタイムで利用されている。これらのリアルタイム観測データ利用のために、10秒以内に計算されるデータ品質管理フラグ作成も定常的に行っている。本報告では、このデータ利用システムのネットワーク構成に加えて、リアルタイムデータ配信・処理に関する現状と課題について述べる。また、2018年7月から観測を開始した埼玉大学に設置したマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダー(MP-PAWR)の観測データについて、本データシステムへの導入についても紹介する。MP-PAWRでは二重偏波観測による観測パラメータ数が倍増したが、フォーマット変更やデータ圧縮によってデータレートは従来のPAWRとほとんど変わらない。データ伝送単位がRHIボリュームスキャンとなったことでリアルタイム処理が高速化された。
一方、気象観測データはリアルタイム利活用だけでなく、過去データを用いて現象の理解やメカニズムの解明を行うことも重要である。近年、急発達している深層学習に用いるためにも、観測データは使いやすい形でアーカイブされることが望ましい。PAWRデータは、観測開始以降(吹田PAWRは2012年、神戸・沖縄PAWRは2014年)全てのQL画像は「過去のデータ」として上記Webページで公開しており、3PBを超える観測データもオンラインのストレージに保存している。観測データは13種類の観測パラメータ別に1時間分をまとめて圧縮し、NICT小金井やけいはんなのストレージなどに保存している。情報通信研究機構(NICT)では、原則として観測データは全てオープンデータとして多くの人に利用してもらいたいと考えている。しかしペタバイトの観測データ保存にはコストがかかり、全データをWeb公開するのは現実的でない。現状はリクエストのあったデータを認証付きページに公開してユーザにダウンロードしてもらっているが、その手間暇や持続的なアクセス保証が将来の課題である。
一方、気象観測データはリアルタイム利活用だけでなく、過去データを用いて現象の理解やメカニズムの解明を行うことも重要である。近年、急発達している深層学習に用いるためにも、観測データは使いやすい形でアーカイブされることが望ましい。PAWRデータは、観測開始以降(吹田PAWRは2012年、神戸・沖縄PAWRは2014年)全てのQL画像は「過去のデータ」として上記Webページで公開しており、3PBを超える観測データもオンラインのストレージに保存している。観測データは13種類の観測パラメータ別に1時間分をまとめて圧縮し、NICT小金井やけいはんなのストレージなどに保存している。情報通信研究機構(NICT)では、原則として観測データは全てオープンデータとして多くの人に利用してもらいたいと考えている。しかしペタバイトの観測データ保存にはコストがかかり、全データをWeb公開するのは現実的でない。現状はリクエストのあったデータを認証付きページに公開してユーザにダウンロードしてもらっているが、その手間暇や持続的なアクセス保証が将来の課題である。