JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS01] 津波堆積物

コンビーナ:石村 大輔(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理学教室)、千葉 崇(秋田県立大学生物資源科学部)、山田 昌樹(信州大学理学部理学科地球学コース)、石澤 尭史(東北大学 災害科学国際研究所)

[MIS01-P11] 遡上津波の反転と堆積物の特徴

*高清水 康博1齋藤 響1 (1.新潟大学)

キーワード:onshore tsunami、mud clast

福島県南相馬市小高区にある調査地域の3.11津波堆積物のブロック試料の解析から,遡上津波の反転を示す堆積物の特徴を紹介する.試料採取地点U-07は海岸から1.57 km内陸の水田であり,南側と西側を人工堤防に囲まれた場所である.先行研究からこの人口堤防に衝突した遡上津波は流れを反転させて,戻り流れになったことが分かっている.

U-07地点から採取したブロック試料の解析の結果,津波堆積物は3つのユニット(下位よりユニット1,2,および3)からなり,ユニット2はさらに,6つのサブユニット(下位よりサブユニットa, b, c, d, e, およびf)に区分された.ユニット1は,遡上流によるマッドクラストを含む粗粒砂層,ユニット2は反転時および戻り流れの泥と砂の堆積物,そしてユニット3は津波後の静水時の沈積による泥層である.
ユニット1の基底部に濃集するマッドクラストのファブリックは,NNWへの古流向(遡上流)を示した.ユニット2は泥層(Unit2a, c, およびf)と砂層(Unit2b, d, およびe)の互層からなる.砂層の帯磁率異方性から推定した古流向は,ENE (Unit2b),NE (Unit2d),およびNE (Unit2f)であった.泥層は遡上津波が人口堤防に衝突して生じたよどみにより沈積したマッドドレープ,砂層は衝突時の複雑な流れと戻り流れによる堆積物である.