JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS01] 津波堆積物

コンビーナ:石村 大輔(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理学教室)、千葉 崇(秋田県立大学生物資源科学部)、山田 昌樹(信州大学理学部理学科地球学コース)、石澤 尭史(東北大学 災害科学国際研究所)

[MIS01-P13] 大型水理実験により作成された津波堆積物の詳細分析

*吉井 匠1田中 姿郎1松山 昌史1 (1.(一財)電力中央研究所)

キーワード:津波堆積物、水理実験、堆積構造

津波堆積物の分布範囲や堆積学的特徴は津波諸元を反映している可能性がある。そのため、津波の特性と堆積物の特徴を対比させることができれば、過去の津波規模を推定し、将来の津波対策に寄与することができる。しかし、実際の津波堆積物は局所地形の影響などにより堆積厚や粒度が大きくばらつくこともあり、津波堆積物の解釈は容易ではない。そこで、著者らは大規模水理実験による津波堆積物の再現を試み、実験水路内に級化・逆級化を示す複数のユニット構造からなる津波堆積物に作成に成功した(Yoshii et al., 2017, 2018)。これらの前報においては、水槽全体で取得したバルク資料を基に、沿岸低地における津波堆積物の形成過程や、陸上勾配が津波堆積物形成に及ぼす影響について明らかにしてきた。

一方、実験で形成された津波堆積物の詳細な堆積構造がどの程度現地再現性を有し、推理実験がどのように堆積学的研究に活用できるのかを明らかにすることは、今後の研究手法を検討するうえで重要である。すでに、岡崎ら(2017a, 2017b, 2018)は、当該実験堆積物に現地津波堆積物と類似する複雑な堆積構造が含まれていることを示している。本研究ではさらに詳細な構造を議論するために、実験で得られた剥ぎ取り資料やコアサンプルに対し粒度分析、およびマイクロフォーカスCT撮影を実施し、実験堆積物の堆積構造について検討を行った。本発表では、これらの分析結果を紹介するとともに、実験堆積物の現地再現性と水理実験の有用性について議論を行う。



(参考文献)

Yoshii, T., Tanaka S., Matsuyama M.: Tsunami deposits in a super-large wave flume, Marine Geology 391:98–107, 2017.

Yoshii, T., Tanaka S., Matsuyama M.: Tsunami inundation, sediment transport, and deposition process of tsunami deposits on coastal lowland inferred from the Tsunami Sand Transport Laboratory Experiment (TSTLE), Marine Geology 400(1):107–18, 2018.

岡崎浩子, 吉井匠, 宮田雄一郎: 津波実験堆積物の形状と内部構造の解析例, 日本地質学会第124年学術大会予稿集, 2017.

岡崎浩子, 吉井匠, 秋山大地: 津波堆積物実験のGPR(地中レーダ)三次元解析, JpGU-AGU Joint Meeting 2017予稿集, 2017.

岡崎浩子, 吉井匠, 宮田雄一郎: 大型造波水路津波堆積物と現世津波堆積物観察例, 日本堆積学会2018年講演要旨, 2018.