JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS03] Structure and deformation in the overlying plate due to subduction and related feedbacks

コンビーナ:佐藤 比呂志(東京大学地震研究所地震予知研究センター)、David A Okaya(University of Southern California)、Eh Tan(Institute of Earth Sciences, Academia Sinica)、石川 正弘(横浜国立大学大学院環境情報研究院)

[MIS03-09] フィリピン海プレートの形状と富士山周辺の地下構造

*原田 靖1野町 日向子1山中 健矢1 (1.東海大学 海洋学部 海洋地球科学科)

キーワード:フィリピン海プレートの形状、富士山周辺の地震波速度構造

プレート形状は,火山フロントの位置や地震の発生場所,規模,及び周期と密接に関連する基礎的で重要な情報である.フィリピン海プレートの存在する南海トラフ沿いでは,プレート運動によりプレート境界にひずみが蓄積し,過去幾度となく巨大地震が発生しているが,その形状はIshida(1992)や弘瀬ほか (2008)などで提案されているものの,その詳細は未だに良くわかっていない.高橋(2019, JpGU)では,現在の標準的なモデルとなっている弘瀬ほか(2008)のフィリピン海プレートの湾曲した形状によって富士山の位置や体積の特殊性を説明したが, この形状は Matsubara et al., 2017 の地震波速度構造と整合性の良くない場所も見られることを指摘していた.
本研究では,弘瀬ほか(2008)のフィリピン海プレート形状モデルと一般公開されているMatsubara et al., 2017 の地震波速度構造,更に未公開の同高解像度版のデータを新しく用いて比較し,高解像度版の地震波速度構造と弘瀬ほか(2008)で推定された形状モデルの整合性の悪い場所を細かく特定した.そして,プレート境界面に対して垂直な方向の速度勾配を求めることで,フィリピン海プレートの境界面の形状を推定した.本研究で得られたプレート形状モデルは高解像版の地震波速度データとの整合性が向上し,かつ御正体山から箱根山にかけての形状は弘瀬ほか(2008)のモデルよりもより湾曲しているという結果が得られた.この結果, 従来考えられていたよりもフィリピン海プレートの形状は太平洋プレートの影響を大きく受けていることを示めす. 今後は, 震源メカニズムやGPS観測による地殻変動データとの比較や,この形状をプレート運動させることで生じる重力異常と実測の重力異常データと比較するなど,他の地球物理観測との矛盾がないかを検証することが必要である.