JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS05] 新生代におけるアジアモンスーンおよびインド太平洋古気候

コンビーナ:山本 正伸(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、Steven C Clemens(Brown University)、Hongbo Zheng(Research Center for Earth System Science, Yunnan University)、多田 隆治(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

[MIS05-P02] 水月湖堆積物コアの多環芳香族炭化水素及び五環性トリテルペノイドメチルエーテル類に残された過去700年間人間活動の記録

*稲垣 征哉1中村 英人2山本 正伸1中川 毅3 (1.北海道大学大学院環境科学院、2.大阪市立大学大学院理学研究科、3.立命館大学古気候学研究センター)

多環芳香族炭化水素はバイオマスや化石燃料の燃焼によって生成する有機物である。またトリテルペノイドメチルエーテル類はイネ科の植物に由来するバイオマーカーである。これらの物質は野焼きや産業燃焼、農耕などの人間活動を示すものである。本研究では水月湖堆積物コアを用いて、過去700年間の多環芳香族炭化水素とトリテルペノイドメチルエーテル類の存在量の変化を測定した。多環芳香族炭化水素は特に太平洋戦争中の1944年をピークに1930年代から1950年代の間で多かった。これは1945年7月福井県敦賀市での空襲による火災によるものだと考えられる。また複数の多環芳香族炭化水素の存在量比の時代変化からは、木材の燃焼から化石燃料の燃焼への変化や自動車などの乗り物の使用などの人間活動の変化も見られた。トリテルペノイドメチルエーテル類は1320年と1530年においてSawamilletinとMilliacinの相対量が変化した。水月湖周辺地域において栽培されたイネ科の植物種が変化したことが示唆される。