[MIS11-P02] IODP Exp. 382速報: 氷山流路から探る南極の氷圏と海洋の変動史
キーワード:IODP、南極氷床、氷山流路、南大洋、古海洋
2019年3月〜5月に行われた国際深海科学掘削計画第382次航海 (IODP Exp. 382) では,南大洋大西洋区の5地点から堆積物コア試料を採取し,鮮新世から更新世にかけての連続的な地質記録が得られた.本航海の主目的は,過去の南極氷床の変動やそれに伴う海洋環境の変遷の復元である.掘削地点は,スコシア海の北縁(亜南極前線の近傍)の2地点 (Sites U1534およびU1535) および南スコシア海の3地点 (Sites U1536–U1538) であった.前者の掘削地点における主な目的は,海洋循環(大西洋―太平洋間の輸送など)が気候変動にどのように応答してきたのかを解明することである.一方,後者の掘削地点は,南極氷床から分離された氷山の主たる輸送経路である「Iceberg Alley」に位置しており,本試料を用いて氷山の輸送・融解量の変遷を解明することとなっている.本発表では,生層序分析の結果やTEX86による水温復元結果(Site U1537およびU1538)などを交えながら,当該航海の概要を紹介する.