JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、Robin Elizabeth Bell(Lamont Doherty Earth Observatory)

[MIS15-10] 係留系観測で得られたビンセネス湾沖南極底層水の時系列変化

*溝端 浩平1北出 裕二郎1嶋田 啓資1平野 大輔2松村 義正3程 霊巧4青木 茂2田村 岳史5 (1.東京海洋大学、2.北海道大学低温科学研究所、3.東京大学大気海洋研究所、4.上海海洋大学、5.国立極地研究所)

キーワード:南極底層水、ビンセネス湾、係留系観測

東南極の東経110 oに位置するビンセネス湾では、ビンセネス湾ポリニヤを起源とする南極底層水の形成が明らかになっている。また近年の海鷹丸による海洋観測から、ビンセネス湾沖〜トッテン棚氷沖において、異なる水塊特性をもつ南極底層水が複数存在することも示唆されている。本研究では、南極底層水の水塊特性とその時系列変化を調べることを目的とし、ビンセネス湾沖大陸棚斜面(Sta. KC6: 64o-59.94’S, 109o -59.52’E, 水深2580m)とその西方に位置する海脚東側(Sta. KM2: 64o-26.01’S, 106o -59.58’E, 水深約2590m)において、2019年1月19日から2020年1月21日まで係留系観測を実施した。係留系はRBR社Solo3T水中温度ロガー、SeaBird社製MicroCAT CTD 、SeaGuard流速計(流速計はSta. KM2のみ)を取り付けた。CTD観測は係留点および東経110oラインに加えて、ビンセネス沖からドルトンポリニヤ域沖の63oS〜65oSにおいて実施した。Sta. KM2では1月から7月中旬にかけて徐々に高温高塩化し、次に7月下旬から9月中旬まで低温低塩化、その後翌年1月にかけて再び高温高塩化していく様子が捉えられた。新しい底層水シグナルと見られる冬季の低温低塩化時において、塩分変化は0.01程度、水温変化は0.15℃程度であった。一方、Sta. KC6では1月から6月初旬にかけて高温高塩化した後、Sta. KM2に比べて1ヶ月強早い6月中旬ごろから底層水シグナルと見られる低温低塩化が見られた。但し、Sta. KM2に比して水温変化(0.1℃程度)は小さく、最低水温は高いことに加え、比較的塩分が高い (年平均差は0.006程度)。両測点で低温低塩化傾向が終焉する9月初旬で比較すると、Sta. KC6とSta. KM2における塩分差は0.009程度であった。Sta. KC6における係留系観測データは、ビンセネス湾ポリニヤ起源の新しい南極底層水が加入する前の水塊特性(塩分34.65〜34.66)を示しており、2020年1月に海鷹丸観測で捉えられたポインセット岬沖における比較的高塩分の南極底層水と整合的であった。東南極の東経110 oに位置するビンセネス湾では、ビンセネス湾ポリニヤを起源とする南極底層水の形成が明らかになっている。また近年の海鷹丸による海洋観測から、ビンセネス湾沖〜トッテン棚氷沖において、異なる水塊特性をもつ南極底層水が複数存在することも示唆されている。本研究では、南極底層水の水塊特性とその時系列変化を調べることを目的とし、ビンセネス湾沖大陸棚斜面(Sta. KC6: 64o-59.94’S, 109o -59.52’E, 水深2580m)とその西方に位置する海脚東側(Sta. KM2: 64o-26.01’S, 106o -59.58’E, 水深約2590m)において、2019年1月19日から2020年1月21日まで係留系観測を実施した。係留系はRBR社Solo3T水中温度ロガー、SeaBird社製MicroCAT CTD 、SeaGuard流速計(流速計はSta. KM2のみ)を取り付けた。CTD観測は係留点および東経110oラインに加えて、ビンセネス沖からドルトンポリニヤ域沖の63oS〜65oSにおいて実施した。Sta. KM2では1月から7月中旬にかけて徐々に高温高塩化し、次に7月下旬から9月中旬まで低温低塩化、その後翌年1月にかけて再び高温高塩化していく様子が捉えられた。新しい底層水シグナルと見られる冬季の低温低塩化時において、塩分変化は0.01程度、水温変化は0.15℃程度であった。一方、Sta. KC6では1月から6月初旬にかけて高温高塩化した後、Sta. KM2に比べて1ヶ月強早い6月中旬ごろから底層水シグナルと見られる低温低塩化が見られた。但し、Sta. KM2に比して水温変化(0.1℃程度)は小さく、最低水温は高いことに加え、比較的塩分が高い (年平均差は0.006程度)。両測点で低温低塩化傾向が終焉する9月初旬で比較すると、Sta. KC6とSta. KM2における塩分差は0.009程度であった。Sta. KC6における係留系観測データは、ビンセネス湾ポリニヤ起源の新しい南極底層水が加入する前の水塊特性(塩分34.65〜34.66)を示しており、2020年1月に海鷹丸観測で捉えられたポインセット岬沖における比較的高塩分の南極底層水と整合的であった。