JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、Robin Elizabeth Bell(Lamont Doherty Earth Observatory)

[MIS15-P16] 3次元氷床モデルSICOPOLISを用いた,棚氷底面融解が駆動する南極氷床変化のモデリング

*原田 果穂1阿部 彩子1,2小長谷 貴志1齋藤 冬樹3Greve Ralf4 (1.東京大学 大気海洋研究所 、2.国立極地研究所、3.国立研究開発法人海洋研究開発機構、4.北海道大学 低温科学研究所)

キーワード:南極氷床、棚氷、底面融解、氷床モデル

現在南極氷床は地球最大の淡水リザーバであり,南極氷床の地形や氷床体積は過去数十万年に渡って卓越していた氷期-間氷期サイクルなどの気候変動に応じて変化を繰り返してきた.これらの変化は南極氷床の表面及び底面の質量収支によって決まるとされている.その中でも棚氷底面融解は棚氷を薄化させ,上流からの氷流をせき止める効果を弱めて氷流を加速させ,大きな氷の損失を引き起こすことから,南極氷床の質量損失の主要な駆動源である.しかし,棚氷底面融解が南極氷床の気候変動への応答に対してどれだけ重要であるかは詳細には明らかにされていない.

そこで本研究では,3次元氷床モデルSICOPOLISを用いて棚氷底面融解に対する定常状態の南極氷床の応答を調べた.具体的には現在の氷床を初期値とし,様々な棚氷底面融解速度を一様に与え,それぞれの応答の違いを調べた.解析に関しては,南極氷床全体に加え,Siple Coast,Wilkes,Aurora及びRecovery subglacial basinといった特定の領域における氷床に対して行った.Siple CoastはRoss Ice Shelfの東側に位置している.一方で3つのsubglacial basinは東南極に位置しており,それぞれ大きな棚氷が下流に存在する.よってこれら4つの領域は棚氷底面融解に対する感度が大きいと考えられる.また我々は棚氷底面融解に加え,氷期-間氷期サイクルの影響を考慮した,現在からの海水準変化に対する定常状態の南極氷床の応答についても調べた.