JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] 南大洋・南極氷床が駆動する全球気候変動

コンビーナ:関 宰(北海道大学低温科学研究所)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)、野木 義史(国立極地研究所)、Robin Elizabeth Bell(Lamont Doherty Earth Observatory)

[MIS15-P18] 溢流氷河の接地線の同定

*奈良間 千之1山之口 勤2杉山 慎3 (1.新潟大学理学部理学科、2.リモート・センシング技術センター、3.北海道大学低温科学研究所)

キーワード:溢流氷河、接地線、ラングホブデ氷河、二重差分干渉SAR

氷床から海洋に流れ出る溢流氷河において,氷河底部の陸地と海洋の境界線は「接地線」と呼ばれ,溢流氷河の末端として定義される.「接地線」の位置,形態,変化は,近年の氷河後退の状態を示すだけでなく,氷床の質量収支や氷河のダイナミクス,棚氷の底面融解の影響評価にも接地線の正確な位置やその変化の把握は重要である.溢流氷河の末端付近は,「氷河」,「接地領域」,「棚氷」に分けられる.「接地領域」と「棚氷」は海洋に位置し,海洋の潮汐の影響で鉛直方向に上下動する.この変動を捉えるため,二時期のマイクロ波衛星データを干渉させ,潮汐変動で生じるマイクロ波の位相差を変動量で示す差分干渉SAR解析が用いられている.これら衛星画像解析の結果は現地調査の検証がないため,差分干渉SAR法によって同定された「接地線」が正しいかどうかは明らかでない.本研究では,東南極のラングホブデ氷河において,「棚氷」と「接地領域」の同定を試みるため,ALOS-2/PALSAR-2のマイクロ波データで差分干渉SAR解析による2組の画像データを作成し,その差分から水平成分を除去する「二重差分干渉SAR解析(DDInSAR)」をおこなった.DDInSARで得られる垂直成分と現地調査の結果を比較し,衛星画像解析から得られる「棚氷」と「接地領域」を分類する手法を確立し,昭和基地~ラングホブデ周辺の領域確定を目指す.