JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] ジオパーク

コンビーナ:田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)、有馬 貴之(横浜市立大学)

[MIS21-P03] 民間・行政・専門家連携による海のアクティビティガイド資質向上に向けた取り組み ~山陰海岸ジオパークGEO×アクティビティプロジェクト~

*金山 恭子1太田 悠造1岩本 有樹2郡山 鈴夏2山下 明男3小玉 芳敬4菅森 義晃4佐野 恭平5 (1.鳥取県生活環境部山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館、2.山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局、3.Develop Surf & Sea、4.鳥取大学農学部、5.兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科)

キーワード:ジオパーク、山陰海岸、アクティビティ、連携、ガイド

山陰海岸ジオパークの浦富海岸では、シーカヤック、スタンドアップパドル(SUP)、シュノーケリング、サーフィンなどの海のアクティビティが盛り上がりを見せており、約60名のアクティビティガイドが活動している。2018年度には観光客や修学旅行生など、ジオパーク認定当初と比べて10倍以上の5600人を超える人が体験した。近年、浦富海岸シーカヤック協議会等に所属するガイドのあいだでは、アクティビティ体験者に対して、シーカヤック等の技術だけでなく、海食洞門や離れ岩のでき方、磯に生息する生物といった浦富海岸ならではの自然の魅力を紹介したいというニーズが高まっていた。

そこで、2019年度にアクティビティガイドと山陰海岸ジオパークの拠点施設である山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館、山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局、地元の大学が連携して、浦富海岸を海の上からガイドをするための素材をまとめたアクティビティガイドのための“虎の巻”を作成するとともに、ガイドを対象とした座学・現地講習を実施した。この事業は、アクティビティガイドの顧客を楽しませる視点と地形・地質・生物の専門家の学術的知識を掛け合わせることで、アクティビティ体験を楽しみながらジオパークの自然を学べる魅力的なガイドを目指すものである。虎の巻作成及び講座の継続的な実施により、浦富海岸で活動するガイド全員に知識が共有され、ガイド全体のレベル向上に繋がると考えられる。

虎の巻の内容には、ガイドが現地で見えるものから語れる情報が必要であるため、まずは専門家とガイドで地形・地質・生物学的視点から現地調査を行った。調査結果を整理し虎の巻の内容を検討するなかで、浦富海岸の花崗岩の割れ目と洞門などの地形、そこに棲む生物との関わりなど地形・地質と生物という分野をまたいだストーリーが見えてきた。また、アクティビティガイドの意見により、体験者から頻出する質問に答えられる内容も盛り込むことができた。

虎の巻の内容をもとに、2019年度6月、9月、3月の3回にわたりガイド対象の講習会を実施した。ガイドからは「地球という乗り物の中にある生物の役割などを詳しく知ることができて良かった」、「県外客に対してすぐに使えるネタがあった」、「現地で地形や生物を見分けるコツ・探すコツを知ることができて良かった」という前向きな意見が多く聞かれた。

この事業は、山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局がアクティビティ事業者と専門家を繋ぐ役割を果たしたことで良い連係が生まれた。また、地形・地質と生物という異なる分野の知識を掛け合わせることで魅力的なガイド「素材」が見つかるということを学んだ。さらに、ジオパークにおいて観光・教育に活用できる「素材」を発掘するには、日頃からの調査研究とそれで得られた知見を整理する活動が必要不可欠であることが再認識された。
今後は、ガイドと専門家が連携して、定期的な講習を実施するとともに、観光や研修旅行を対象とした体験プログラムを作る予定である。