JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] ジオパーク

コンビーナ:田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)、有馬 貴之(横浜市立大学)

[MIS21-P05] 2020年版、島原半島ユネスコ世界ジオパークにおける“サイト”の再編成

*森本 拓1 (1.島原半島ジオパーク協議会事務局)

キーワード:サイトの再編成、自己評価票、サイトの価値、サイトの活用計画

2016年度、島原半島ジオパーク協議会は、サイトの数を189から130に見直すとともに、サイトの種別を、1:地質学的サイト(geological sites)、2:生態学的サイト(ecological sites)、3:歴史・文化サイト(historical/cultural sites)、4:複合サイト(composite sites)の4種類に分類した(大野,2017)。とりわけ、複合サイトは、島原半島ジオパーク協議会が独自の基準で定義したもので、代表的なサイトとしては、ユネスコ世界文化遺産であると同時に、その場所を構成する基盤岩が重要な地質学的価値を有している「原城跡」である。しかしながら、GGN(世界ジオパークネットワーク)の自己評価票(Self evaluation)の中には、複合サイトという項目はなく、再検証(reevaluation)時におけるGGNの評価軸との整合性がとれないことや、また、サイトを管理(保護・保全)していく上で、サイトがどのような価値をもつのかが地域住民や来訪者に明確に伝わりにくい等、問題点を抱えていた。

 このような背景に対して、2018年から2019年にかけて島原半島ジオパーク協議会は、エリア内の複合サイトを、地質学的サイト(geological sites)、自然サイト(動植物)(natural sites)、歴史・文化的サイト(historical/cultural sites)の3種類に再編成を行った。併せて、既存の130のサイトを今後管理していく中で、サイトの位置や範囲が不明瞭なものがないか、自然あるいは文化財保護制度等の対象になっているか、また教育活動ならびにジオツーリズムに活用できるポテンシャルを有しているか等、以上の観点からサイトの見直しを図った。その結果、2020年3月におけるサイトの総数は、50となり、その内、地質学的サイトは16、自然サイトは6、歴史・文化的サイトは28になった。また、サイトの景観を観察することができる展望台等については、ビュースポットと位置づけ、これらは13となった。再編成した50のサイトは、島原半島ジオパーク協議会が地域住民等と一緒になって、特に未来へ残していきたい大切なサイトである。今後も、守るべき価値のあるサイトが新たに判明した場合や、サイトの管理状況に変化が生じた場合は、その都度、追加または修正を図っていく予定である。

 サイトの再編成や見直しは、「地域の宝」といえるサイトの価値を、住民、行政、研究者等の多様なステークホルダー間で改めて共有するきっかけになる。また、多国語解説板や総合案内板、そしてリーフレットやwebsiteへの記載内容の変更につながる等、ジオツーリズムを展開する上での戦略に関わる重要なものである。今後は、再編成したサイトの管理ならびに活用計画を記載したサイトカルテを関係者間で作成し、それをもとに、持続可能なかたちでサイトを未来へ引き継ぐための活動をしていく。