JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS21] ジオパーク

コンビーナ:田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、尾方 隆幸(琉球大学島嶼防災研究センター)、大野 希一(島原半島ジオパーク協議会事務局)、有馬 貴之(横浜市立大学)

[MIS21-P07] 十和田湖周辺地域における「ジオ」の魅力の再発見とその地域振興への展望

*桑原 佑典1石田 美月1小林 澪生2大沼 勝弥3加藤 泰浩4,1,5 (1.東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻、2.東京大学農学部環境資源科学課程フィールド科学専修、3.東京大学理学部物理学科、4.東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター、5.千葉工業大学次世代海洋資源研究センター)

キーワード:地方創生、十和田湖、ジオツーリズム

日本各地には,ユニークな地質学的特徴を持ち,その上に独自の生態系や文化および産業が育まれている地域が数多く存在する.こうした地域の振興においては,固有の自然や文化だけでなく,それらの基盤をなす「大地 = ジオ」の魅力を効果的に活用することが重要であると考えられる.しかし,地形や地質といった地域の「ジオ」の側面はしばしば,地域住民にとっては当然のものとして捉えられてしまい,その背後にあるプロセスが充分に語られないことも多い.大地の成り立ちという,地域の歴史の原点に立ち返ることは,地域住民が地域の魅力を再発見し,地域に誇りを持つきっかけとなるほか,ジオツーリズムの活用にもつながると考えられる.
発表者らは,東京大学「フィールドスタディ型政策協働プログラム」の活動の一環として,青森県の協力を得て,青森・秋田両県にまたがる十和田湖周辺地域の活性化のアイデアについて,現地調査を通じて検討した.十和田湖周辺地域には大地の成り立ちを学ぶことのできるスポットが多数存在し,さらに,特色ある生態系(例:奥入瀬渓流のコケ群落)ならびに,独自の産業や文化(例:ヒメマス漁)が存在する.したがって,同地域は,「大地 = ジオ」の営みについて学び,楽しむ場としてのポテンシャルを十分に有すると考えられる.しかしながら,現存する教育・観光プログラムはおもに生態系や文化にフォーカスしており,その基盤となる「大地 = ジオ」に注目したものは非常に少ないことがわかった.
そこで,十和田湖周辺地域の「ジオ」の魅力を地元の子供たちに伝えるべく,発表者らは,現地の中学校において交流授業を企画・実施した.手軽にできる実験(例:ココアパウダーを用いたカルデラ形成実験)を交えて十和田湖・奥入瀬渓流の成り立ちについて解説を行い,その感想についてアンケート調査を実施した.本発表では,これらの調査および交流授業の結果を踏まえ,「ジオ」の魅力を前面に押し出し,十和田湖周辺の「地域おこし」を進めるシナリオについて検討する.