[MIS23-07] 銀担持抗菌リン酸八カルシウム(OCP)の調製とその生物学的評価
キーワード:リン酸カルシウム、抗菌材料、骨補填材、結晶工学
超高齢化社会を迎えるにあたり、QOLの維持、健康寿命の延伸は、社会の活力維持のため、その重要性を増々増大させている。特に、運動器、口腔領域、これらの枢要である骨格系の恒常性維持はQOLの維持に不可欠である。我が国では、これら骨格系疾患の罹患者数は年々増加している。骨補填材は、病気や怪我で欠損した骨欠損を再建・再生することが出来る唯一の材料であるが、適応できる症例が限られており、特に身体の抵抗力が落ちてきた高齢者が罹患しがちな疾患への適応は限定的である。我々は幼若骨の無機主要成分であるリン酸八カルシウム(OCP)の骨補填材としての応用を目指して検討を進めており、更なる骨補填材研究の応用として、これまで適応できない部位、症例への応用を目指してきた。
骨補填材の利用における最大のリスクは、埋入部位の感染である。実際に感染した場合、非常に重篤な症状となるため、骨補填材への抗菌性付与は喫緊の課題である。
銀は、歴史的に用いられてきた抗菌剤であるだけでなく、幅広い抗菌スペクトルを持つことが知られている。しかし、銀を担持した材料は体液などに接触すると黒色化するため、口腔領域などの審美性が必要な部位での使用は限られてきた。これを解決すべく、我々は鉱物科学、結晶科学的な見地に基づきOCP調製時に使用する緩衝溶液の組成について検討を進めてきた。緩衝溶液中にCaイオンのイオン半径と近いサイズのカチオンが存在していると、これらのカチオンがOCP結晶の特定部位に取り込まれ、OCPの形成が大きく誘導されるということを見出した。銀イオンは、Caイオンに近いイオン半径を持つため同様の機構によりOCP結晶中に取り込まれることを見出し、これを応用した抗菌性OCPの調製に成功した。調製したOCP結晶は、培地中に浸しても変色しないばかりか、優れた抗菌性を示すことが分かった。当日は、本抗菌性担持OCPの調製法及び、これの抗菌性評価、細胞への影響についての検討について示す。
骨補填材の利用における最大のリスクは、埋入部位の感染である。実際に感染した場合、非常に重篤な症状となるため、骨補填材への抗菌性付与は喫緊の課題である。
銀は、歴史的に用いられてきた抗菌剤であるだけでなく、幅広い抗菌スペクトルを持つことが知られている。しかし、銀を担持した材料は体液などに接触すると黒色化するため、口腔領域などの審美性が必要な部位での使用は限られてきた。これを解決すべく、我々は鉱物科学、結晶科学的な見地に基づきOCP調製時に使用する緩衝溶液の組成について検討を進めてきた。緩衝溶液中にCaイオンのイオン半径と近いサイズのカチオンが存在していると、これらのカチオンがOCP結晶の特定部位に取り込まれ、OCPの形成が大きく誘導されるということを見出した。銀イオンは、Caイオンに近いイオン半径を持つため同様の機構によりOCP結晶中に取り込まれることを見出し、これを応用した抗菌性OCPの調製に成功した。調製したOCP結晶は、培地中に浸しても変色しないばかりか、優れた抗菌性を示すことが分かった。当日は、本抗菌性担持OCPの調製法及び、これの抗菌性評価、細胞への影響についての検討について示す。