JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] 山の科学

コンビーナ:鈴木 啓助(信州大学山の環境研究センター)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(国士舘大学文学部史学地理学科 地理・環境コース)、奈良間 千之(新潟大学理学部理学科)

[MIS24-P09] 中部山岳地域における降水安定同位体比の変動要因

*桂川 司1山中 勤2佐々木 明彦3黒雲 勇希1西村 基志1清水 啓紀1鈴木 啓助4 (1.信州大学大学院総合理工学研究科、2.筑波大学、3.国士舘大学、4.信州大学)

キーワード:降水、同位体

中部山岳地域の9地点(長野,松本,諏訪,大町,菅平,乗鞍,上高地,志賀高原,西穂高)において2011年1月から2018年12月にかけて1ヶ月ごとに降水試料採取をするとともに気象観測を行った.採取した降水試料は実験室に持ち帰り安定同位体分析を行って D, 18Oを求めd-excessを算出した. 18Oは降水量を用いて加重平均を行って月平均値とした.地点ごとのLocal meteoric water line(LMWL)を算出して降水安定同位体比の傾向を調べた結果,LMWLの傾きは北東ほど小さく,南西ほど大きくなる特徴が見られた.2011年から2018年にかけてのそれぞれの月平均値を求めて 18Oの季節変動を検討した結果, 18Oは春季と夏季にピークを示す2山型の変動を示した.空間的な変動を調べるため緯度,経度,標高と 18Oとの決定係数を算出した結果4月から10月にかけて標高と明瞭な相関を示した.d-excessは冬に高く夏に低くなるというような季節変動を示した.また空間的な変動として,夏季は標高が低い地域は低い値を示し,冬季は北東部の地点で高い値が示された.これは北東部の地点には冬型の気圧配置により高いd-excessを示す降水が多くもたらされる事が要因であると考えられる.