[MIS25-05] 密度の異なるヒノキ林において気象条件が幹成長の年変動に及ぼす影響
キーワード:気象条件、幹成長、針葉樹人工林
近年顕在化する気候変動は森林生態系の幹成長に対して悪影響を及ぼすことが懸念されている。一方で、森林生態系は、二酸化炭素を吸収する吸収源としての機能を果たしている。ヒノキ人工林においては、適切な間伐をすることによって、木材生産機能、吸収源機能、水土保全機能などを高度に発揮することが期待されている。しかし、異なる伐採率で間伐をした際の幹成長の長期的変化については情報が少ない。本研究では、高知県の低標高地域(標高500-550m)と高標高地域(標高1150-1280m)のヒノキ林において異なる間伐率の調査区(無間伐、25%間伐、50%間伐、75%間伐)を設定し、間伐後14年間の幹成長を明らかにした。また、それぞれの調査区において毎年の幹成長と気象条件の関係を重回帰分析によって評価した。
間伐1-7年後、8-14年後の林分面積あたりの幹成長を比較すると、低標高地域のヒノキ林では、間伐区の幹成長は8-14年後には無間伐区とほぼ同じ程度(無間伐区の83~110%)にまで回復した。一方で、高標高地域では、間伐区の幹成長の増加は小さく、8-14年後の50%間伐区、75%間伐区における幹成長は、無間伐区のそれぞれ76%、50%にとどまった。それぞれの調査区における14年間の幹成長と気象条件の関係を解析した結果、低標高地域では最大瞬間風速が大きいほど50%間伐区、75%間伐区の幹成長が低下する傾向が認められたが、25%間伐区と無間伐区では風速の影響は認められなかった。また、高標高地域では、すべての調査区で風速と幹成長に有意な関係は認められなかった。低標高地域では、強度な間伐をすると、幹成長の回復が顕著であるが、強風の影響を受けやすいことが明らかになった。一方、高標高地域は環境条件が厳しく、間伐区における成長の促進効果が限定的であり、風速に関わらず幹成長が低く維持されていると考えられた。以上の結果より、標高域によって幹成長の回復と、強風によるリスクに差があり、低標高地域においては、弱度の間伐を繰り返すことで強風のリスクを抑制しながら幹成長を促進することが可能になると考えられた。
間伐1-7年後、8-14年後の林分面積あたりの幹成長を比較すると、低標高地域のヒノキ林では、間伐区の幹成長は8-14年後には無間伐区とほぼ同じ程度(無間伐区の83~110%)にまで回復した。一方で、高標高地域では、間伐区の幹成長の増加は小さく、8-14年後の50%間伐区、75%間伐区における幹成長は、無間伐区のそれぞれ76%、50%にとどまった。それぞれの調査区における14年間の幹成長と気象条件の関係を解析した結果、低標高地域では最大瞬間風速が大きいほど50%間伐区、75%間伐区の幹成長が低下する傾向が認められたが、25%間伐区と無間伐区では風速の影響は認められなかった。また、高標高地域では、すべての調査区で風速と幹成長に有意な関係は認められなかった。低標高地域では、強度な間伐をすると、幹成長の回復が顕著であるが、強風の影響を受けやすいことが明らかになった。一方、高標高地域は環境条件が厳しく、間伐区における成長の促進効果が限定的であり、風速に関わらず幹成長が低く維持されていると考えられた。以上の結果より、標高域によって幹成長の回復と、強風によるリスクに差があり、低標高地域においては、弱度の間伐を繰り返すことで強風のリスクを抑制しながら幹成長を促進することが可能になると考えられた。