JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS26] 地震・火山等の地殻活動に伴う地圏・大気圏・電離圏電磁現象

コンビーナ:児玉 哲哉(宇宙航空研究開発機構研究開発部門第一研究ユニット)、長尾 年恭(東海大学海洋研究所)

[MIS26-02] 柿岡観測点におけるULF電場変動と地震との関係について

服部 克巳1、*高平 遼1吉野 千恵1陳 宏嘉2 (1.千葉大学、2.台湾国立中央大学)

これまでに、地震に関連するULF(極超長波)帯の電磁場変動の報告が数多くされている。ULF磁場の異常変動に関しては事例報告や統計解析がなされ、地震との統計的有意相関や前兆現象としての統計的評価がされている。一方、電場データに関して統計解析を行った研究例はあまり無い。そこで本研究では、柿岡観測点(KAK)におけるULF帯の電場データについて、地震との相関を統計的に調査することとした。解析した期間は1996年1月1日から2018年12月31日の24年間である。柿岡観測点では基線長180mと190mで電場の東西、南北成分を計測している。本研究では1分値データを解析に用いた。



電場データには電車や工場等に由来する人工雑音の影響や降雨や磁気嵐の影響がある。人工雑音の影響を軽減するために1:00~4:00(LT)の夜間帯のデータのみを用いた。降雨の影響はほとんどないことが確認できた。また、電場データから、磁気嵐の影響を含む日のものを除外した。観測データは、東西、南北成分それぞれについて、1日当たり計180個のデータがあり、その中央値、標準偏差、歪度、尖度を求め、それぞれを1日の代表値とした。算出した標準偏差、歪度、尖度のデータについて、中央値±1.5IQRの範囲を超える場合を異常と定義した。ここで、IQRは四分位範囲を意味する。



解析の対象地震は、柿岡観測点においてEs指数(観測点の感じる1日あたりの地震エネルギー)が10の8乗を超える日のうち、前後30日間に対象日(Es指数が10の8乗を超える日)がない場合、すなわち孤立地震が発生した日とした。



事例解析の結果、地震前後に異常が見られる日や、地震が無くても異常が見られる日があったため、統計的な解析を用いることとした。統計解析にはSEA(Superposed Epoch Analysis)解析を用い、その結果標準偏差において地震の10~6日前、尖度において16~20日後に顕著に統計的有意性が見られることが判明した。少なくとも標準偏差においては地震に先行する有意なULF電場データ異常が出現することが確認できた。