[MIS28-P12] 歴史学と自然科学の協働による史料の分析:近世オーロラ史料を例に
キーワード:歴史文献、オーロラ
人々が残した歴史文献中の自然現象の記録は地球惑星科学にとって重要な情報源である。しかしそのような記録を自然科学的なデータとして用いるためには、記録に残されている日付、場所、その現象の規模や様態などの情報がどれほど信頼に足るのかが吟味されなくてはならない。本発表では近世のオーロラ史料の分析を例に歴史学・文献学的な手法と自然科学的な手法によって史料の信頼性を吟味するプロセスを紹介し、歴史文献中の記録を用いた研究の方法論として提示する。それは自然科学と歴史学・文献学のどちらか一方が相手に依存/奉仕する構造ではなく、自然科学的分析と歴史学・文献学的分析の双方を持ち寄ることによって史料中の記録から引き出せる情報の確度を高めてゆくプロセスであることが示される。その結果が自然科学と歴史学の双方にとって有益な知見をもたらすことによって、互恵的かつそれゆえに持続的な共同研究が可能となる。