JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS30] 地球科学としての海洋プラスチック

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、川村 喜一郎(山口大学)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、土屋 正史(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門)

[MIS30-01] マクロプラスチックからマイクロプラスチックまでを含む全球プラスチック循環モデルの構築

*磯辺 篤彦1 (1.九州大学応用力学研究所)

キーワード:マイクロプラスチック、マクロプラスチック、海洋プラスチック循環モデル

全球を対象に海洋プラスチック循環モデルを構築した。海洋プラスチックごみを四種類の粒子で代表させた。すなわち、河川から投入され海洋を漂流するマクロプラスチック(大型プラスチックごみ)と、海岸に漂着したマクロプラスチック、それらが破砕して発生する漂流マイクロプラスチックと、海岸に漂着するマイクロプラスチックである。本モデルは、マクロプラスチックの発生過程と、領域を移動しつつ遷移する四種の粒子の輸送過程、そしてマイクロプラスチックの消滅過程で構成される。マクロプラスチックの発生量は、全世界の河川から供給されるプラスチックゴミの投入量(Lebreton et al. ,2017)で与えた。背景流には、海洋再解析データが与える表層海流と、衛星風データ、そして衛星風データで駆動する波浪モデルで計算したストークスドリフトを与えた。漂流マクロプラスチックと漂着マクロプラスチックの交換時間はKataoka et al. (2013)の実験値を、また漂流マイクロプラスチックと漂着マイクロプラスチックの交換時間にはHinata et al. (2017)の実験値を与えた。表層を浮遊するマイクロプラスチックは、Isobe et al. (2019)に従って三年で1/eにまで消滅させた。海岸漂着したマクロプラスチックの漂着通算期間が一年になれば、1/eをマイクロプラスチックに変化させた。モデルは、ほぼプラスチックのない1960年から始め、2017年末まで計算を続けた。計算期間中に放出したプラスチックの行方について取りまとめた結果を報告する