JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS30] 地球科学としての海洋プラスチック

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、川村 喜一郎(山口大学)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、土屋 正史(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門)

[MIS30-04] 台風通過に伴うマイクロプラスチック濃度の変化ー相模湾におけるケーススタディ

*中嶋 亮太1北橋 倫1長野 由梨子1磯部 紀之1美山 透1青木 邦弘1小栗 一将1生田 哲朗1吉田 尊雄1Parker Heather1前田 洋作1山内 拓也3川村 喜一郎2鈴川 真季2土屋 正史1矢吹 彬憲1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.山口大学、3.熊本大学)

キーワード:海洋ごみ、台風、ハリケーン、嵐、マイクロプラスチック

海洋プラスチックのソースは80%が陸地からと言われ、不適切に管理されたプラスチックごみやポイ捨てされたプラスチックが雨風によって陸から海へ流入する。そのため雨の多い季節には海洋ごみの流入が多くなる。しかし大雨と大風をともなう台風やハリケーンなどのエピソディックなイベントによってプラスチック(特に小さなマイクロプラスチック)がどのくらい運ばれるのかその実態はほとんど知られていない。そこで本研究では相模湾中央部において2019年台風15号(以下、台風15号)の通過に伴うマイクロ、マクロプラスチック量の変化を調べた。調査は台風の通過前(2019年9月7日)、通過1日後(9月10日)、通過3日後(9月13日)に湾中央部でニューストンネットによるマイクロプラスチックの採集を行った。また目視によるマクロプラスチックの定量観察を行った。その結果、マクロプラスチック濃度は通過1日後に通過前の7倍に増大、マイクロプラスチック濃度は210倍に増大していた。採集したマイクロプラスチックの中では発泡ポリスチレン粒が最も優占していた。またそれらの増加したマイクロプラスチックは台風通過3日後には通過前と同じレベルに戻ることも確認された。本知見から台風によって湾中央部に運ばれた大量のマイクロプラスチックは短いタイムスケールで湾の外に運ばれることが示された。