[MIS30-05] 大阪湾におけるマイクロプラスチックの分析化学的・環境化学的研究
キーワード:マイクロプラスチック、大阪湾、分析化学、環境化学
近年、海洋プラスチックは新たな環境問題として注目を集めている一方、プラスチックの成分が直接生物に影響を及ぼす可能性が低いため安全と考えられている。しかし、海洋生物が粒子径が5 mm以下のマイクロプラスチックを誤飲した場合、摂食器官や消化管への物理的閉塞または損傷が懸念されている。さらに人体へはマイクロプラスチックに吸着した有害化学物質が濃縮や食物連鎖を通して悪影響を及ぼす可能性が懸念されている。しかし、日本においてこれらの超微細なマイクロプラスチックの動態に関する研究は少ない。本研究では、大阪湾におけるマイクロプラスチックの現存量ならびにその供給源を解明する目的で研究を行なった。
試料採取方法
試料採取は表面海水を海水ポンプ(120L/min)でくみ上げた。汲み上げた海水は粒径5.00mmのステンレス製ふるいを通過さた後、粒径100µmのプランクトンネットを通過させる。プランクトンネット上に粒径100µm~5.00mmのマイクロプラスチックを捕集した。また、プランクトンネット通過した海水もポリタンク(100L)で持ち帰り採取し持ち帰った。この海水試料は、粒径100µm以下のMPの検出に使用した。
マイクロプラスチックの定性的評価
試料中のマイクロプラスチックの定性的評価は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノジーズ社製)高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)S8000)およびフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR6100)(JASCOエンジニアリング株式会社製)を用いて行った。
密度差によるマイクロプラスチックの分離
プランクトンネット上に採取した試料の中には、MPの他植物プランクトン、木片、砂など様々な物質が混入している。市販されているプラスチックの密度は0.9~1.6(g / cm-3)であることからNaIを用いた密度比差による分離を行った。
混酸を用いたマイクロプラスチックの分離
密度差を用いた分離法においても直物プランクトン、木片などの有機化合物は試料中に残存している可能性がある。これら残存する有機化合物を分解除去する方法としては、酸、アルカリ酸化剤、酵素などによる分解法があげられる。先行研究において大阪湾で採取した試料に対して酸化剤としてH2O2を用いた分解法を検討した。分解後の試料をSEM-EDXにて分析した結果、珪藻類と思われる生物片の残存が確認された。次に、水酸化カリウム(10 %)、硝酸、フッ化水素酸をそれぞれ単独で加えて分解を行ったが、生物片の残存が確認され分解が不十分であることが分かった。そこで、生物試料の分解に用いられる、硝酸+過塩素酸+フッ化水素酸の混酸による加熱分解処理を検討した。その結果、植物プランクトンは、ほぼ分解できることが確認された。
酸分解がプラスチックに与える影響
研究用プラスチックサンプル(16種類)を用いた硝酸(60 %)+過塩素酸(60 %)+フッ化水素酸(46 %)の混酸による耐性実験を行った。表1に硝酸(60 %)+過塩素酸(60 %)+フッ化水素酸(46 %)の混酸による高分子試料の変化を載せた。その結果、表1から幾つかのプラスチックは変色が認められた。FT-IRの結果からは構造上の変化は認められなかった。
大阪湾で採取したマイクロプラスチック
図1に大阪湾で採取したマイクロプラスチック,市販HDPE,市販PPのFT-IRスペクトルを示した。図1より、2900 cm-1,1400 cm-1ピークあたりのピークC-H伸縮,C-H変角、720 cm-1あたりに、ピークが見られることより、大阪湾から得たマイクロプラスチックでは、PE系、特にHDPEであることが確認された。
試料採取方法
試料採取は表面海水を海水ポンプ(120L/min)でくみ上げた。汲み上げた海水は粒径5.00mmのステンレス製ふるいを通過さた後、粒径100µmのプランクトンネットを通過させる。プランクトンネット上に粒径100µm~5.00mmのマイクロプラスチックを捕集した。また、プランクトンネット通過した海水もポリタンク(100L)で持ち帰り採取し持ち帰った。この海水試料は、粒径100µm以下のMPの検出に使用した。
マイクロプラスチックの定性的評価
試料中のマイクロプラスチックの定性的評価は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノジーズ社製)高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)S8000)およびフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR6100)(JASCOエンジニアリング株式会社製)を用いて行った。
密度差によるマイクロプラスチックの分離
プランクトンネット上に採取した試料の中には、MPの他植物プランクトン、木片、砂など様々な物質が混入している。市販されているプラスチックの密度は0.9~1.6(g / cm-3)であることからNaIを用いた密度比差による分離を行った。
混酸を用いたマイクロプラスチックの分離
密度差を用いた分離法においても直物プランクトン、木片などの有機化合物は試料中に残存している可能性がある。これら残存する有機化合物を分解除去する方法としては、酸、アルカリ酸化剤、酵素などによる分解法があげられる。先行研究において大阪湾で採取した試料に対して酸化剤としてH2O2を用いた分解法を検討した。分解後の試料をSEM-EDXにて分析した結果、珪藻類と思われる生物片の残存が確認された。次に、水酸化カリウム(10 %)、硝酸、フッ化水素酸をそれぞれ単独で加えて分解を行ったが、生物片の残存が確認され分解が不十分であることが分かった。そこで、生物試料の分解に用いられる、硝酸+過塩素酸+フッ化水素酸の混酸による加熱分解処理を検討した。その結果、植物プランクトンは、ほぼ分解できることが確認された。
酸分解がプラスチックに与える影響
研究用プラスチックサンプル(16種類)を用いた硝酸(60 %)+過塩素酸(60 %)+フッ化水素酸(46 %)の混酸による耐性実験を行った。表1に硝酸(60 %)+過塩素酸(60 %)+フッ化水素酸(46 %)の混酸による高分子試料の変化を載せた。その結果、表1から幾つかのプラスチックは変色が認められた。FT-IRの結果からは構造上の変化は認められなかった。
大阪湾で採取したマイクロプラスチック
図1に大阪湾で採取したマイクロプラスチック,市販HDPE,市販PPのFT-IRスペクトルを示した。図1より、2900 cm-1,1400 cm-1ピークあたりのピークC-H伸縮,C-H変角、720 cm-1あたりに、ピークが見られることより、大阪湾から得たマイクロプラスチックでは、PE系、特にHDPEであることが確認された。