JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

コンビーナ:戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、八久保 晶弘(北見工業大学)、後藤 秀作(産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門)、谷 篤史(神戸大学 大学院人間発達環境学研究科 人間環境学専攻)

[MIS32-01] メタンハイドレート資源開発:MH21-S研究開発コンソーシアムの取り組み〜目的と課題

*山本 晃司1天満 則夫2阿部 正憲3 (1.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2.国立研究開発法人産業技術総合研究所、3.日本メタンハイドレート調査株式会社)

キーワード:メタンハイドレート、貯留層評価、商業化

001年より18年間続いたMH21コンソーシアムのメタンハイドレート資源開発を目指した研究は、タービダイト砂層中のハイドレート濃集帯の発見や、減圧法の有効性の陸及び海での実証などの成果を上げて一旦終結したが、メタンハイドレートが実用的な資源とみなされるようになるにはまだ課題が多い。これらの課題を解決すべき、2019年度より新たなコンソーシアム(MH21-S)が組織され、2022年度までの4年間の研究を担うこととなった。

この新たな研究は、旧コンソーシアム中の研究で実施した経済性とエネルギー収支の評価より、2023年度以降の次フェーズに計画されている海洋産出試験実施に向けて、十分な原始資源量のある濃集帯において試験候補地点を見出すことと、坑井あたりの生産レートが十分得られることに関する定量的な基準を設定して、日本周辺のメタンハイドレート濃集帯の探査と生産技術の開発によりこれらの基準を満たす見込みがあることを示し、その後の海洋産出試験につなげることを目的としている。そのため、陸上での長期産出試験を含む生産技術の開発と、有望濃集帯の抽出に向けた海洋調査(環境を含む)の二本立ての研究計画を立てている。
その中でも特に重要なのは、生産挙動予測の信頼性向上と、安定生産阻害要因の抽出と解決策の検討である。これまでに実施した海洋産出試験で得られたガス・水生産挙動や温度・圧力モニタリングの結果にはモデルの予想と異なる点が見られ、安定的なガスを阻害する現象が起きていると考えられる。そのため、貯留層パラメータとその分布の情報精度を高めるとともに、地層内の熱・流体の輸送挙動と力学現象を理解・把握し、モデルに反映することが必要であり、さらに生産レートを上げ、経済性を高める方策につなげる必要がある。