JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD47] 将来の衛星地球観測

コンビーナ:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、Shinichi Sobue(Japan Aerospace Exploration Agency)、金子 有紀(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

[MSD47-01] ひまわり後継衛星の検討状況

*長谷川 昌樹1 (1.気象庁)

キーワード:衛星、ひまわり、気象庁

気象庁では、静止気象衛星ひまわり8号を2015年7月より運用を開始し、同9号についても2017年3月よりバックアップ機としての運用を開始している。両号は、2022年頃にその役割を交代しつつ、2029年頃まで運用を続ける予定である。ひまわりを用いて、2018年から、アジア太平洋諸国の気象水文機関の要望に応じて領域観測を行う「ひまわりリクエスト」を開始し、南太平洋の熱帯低気圧やオーストラリアにおける林野火災、インドネシアにおける火山噴火などを対象に観測を実施している。また2020年1月からは、JAXAで開発されたアルゴリズムを用いて、ひまわりからエーロゾル観測データを作成し、それを全球エーロゾルモデルに同化することで、黄砂の解析予測精度の改善を図っているなど、気象業務での利活用を着実に進めている。

一方、ひまわり8号・9号の後継となる静止気象衛星については、宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画工程表において、遅くとも2023年度までに製造に着手し、2029年度頃に運用を開始することを目指す、とされている。また世界気象機関は、2040年頃に具備するのが望ましいセンサーとして、静止気象衛星については高頻度観測機能を備えた多バンドの可視・赤外イメージャや、ハイパースペクトル赤外サウンダ、雷イメージャ、紫外/可視/近赤外サウンダを推奨している。

ひまわり8号・9号の後継衛星の検討に資するため、気象庁では、国内外の衛星及びセンサーの製造技術やデータ利活用技術の最新動向を把握するための技術動向調査を2019年度に実施した。また、ハイパースペクトル赤外サウンダについては、同センサーがもたらす観測データが数値予報に与える効果について観測システムシミュレーション実験(OSSE)を2019年度まで実施した。その他のセンサーについても、その技術的な利用可能性や効果について検討を進めている。

本発表では、後継衛星に関する気象庁における技術的な検討状況を報告する。ひまわりは気象業務だけでなく、国内外の多様なユーザーに利用されており、わが国の重要な社会資本となっている。本発表を機会に、学術界諸氏からの積極的な情報提供や、コメント、あるいは具体的な利用目的にもとづく要望などを期待している。