JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD47] 将来の衛星地球観測

コンビーナ:本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、Shinichi Sobue(Japan Aerospace Exploration Agency)、金子 有紀(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

[MSD47-P06] キロメートル級SLCPイメージング分光観測:地球温暖化・大気汚染の同時軽減対策効果に関する静止衛星診断

*笠井 康子1谷本 浩志3金谷 有剛2大気化学会 大気環境衛星検討委員会 (1.情報通信研究機構 、2.海洋研究開発機構、3.国立環境研究所)

キーワード:短寿命気候汚染物質、衛星観測

SLCPは大気汚染と気候変動の双方に複雑に関係しており、それらを紐解き効果的な改善を導く。SLCPはCO2と比較し削減効果が短期的に得られるため、地球温暖化対策の新たな手法として、閣僚級の国際的取組みが2012年より開始された (CCAC)。大気汚染に起因する死亡者数は世界で370万人程度であり(WHO, 2012)、交通事故死者数の約3倍に相当する。特に我が国は越境および国内起源の高濃度オゾンの問題が深刻で、早期死亡者率はOECD国で最高レベルにあるほか、農作物への影響も無視できない。SLCPは排出源が局所的であり,実態把握のためには空間分解能1kmクラスの観測が必要であるが、技術的困難さのためこれまで存在していない。そこでオゾンと前駆物質、光吸収性BCに焦点を当てたSLCPイメージング分光計(UV/VIS)をアジア上空の静止衛星に搭載し、積分時間を排出地域に重点的に割り当てること等により、高水平分解能(目標:水平分解能1~2km)、日変化観測を実現する。GOSAT-GW等での回折格子型イメージング分光観測を、静止衛星観測へと発展させるもので、1)オゾンと前駆物質(NO2, HCHO, CHOCHO)の網羅的計測による非線形大気光化学解明と管理を実現するとともに、2) 近赤外バンドでのメタン, CO2計測オプションにも道を拓き、GHG-SLCPの総合的管理からパリ協定やSDGs達成を牽引する。