[MTT51-P03] ホウ素同位体比:海洋pH復元と海底熱水鉱床への応用
キーワード:ホウ素同位体、海洋酸性化、海底熱水鉱床
ホウ素同位体比のトレーサーとしての有用性を示すため、事例研究を紹介する。
1)サンゴ骨格のホウ素同位体組成を用いた海水pH復元
ホウ素は海水中では主にB(OH)3とB(OH)4-の2つの形態で存在しており、pHによって存在比が変化するだけでなく、それぞれのイオンに含まれるB同位体比(11B/10B)も系統的に変化する。特にpH 7.5~9.5 にかけて、11B/10Bの変化幅が大きいため、pH 8程度の海水のpHの変動をみるのに好都合である。本研究では、太平洋の北赤道海流に位置する、グアムのサンゴ骨格の過去60年間のδ11Bの変動を調べた。かなり変動しているが、全体の傾向としては60年間で0.39 ‰ (pH換算で0.05- 0.08)の低下が認められた(Shinjo et al., 2013)。
2)沖縄トラフの海底熱水鉱床のホウ素同位体比
琉球弧の西方には沖縄トラフという細長い地溝状の海盆があり、活発な海底拡大が進行中である。いくつかの拡大軸付近では海底熱水鉱床が発見され注目を集めている。海底熱水域の堆積物層の間隙水について、ホウ素同位体の分析を行った(石橋ら, 2017)。間隙水は、海底の堆積層を構成する鉱物や堆積物粒子の間隙にある流体である。伊平屋北海丘の海底熱水活動域において、地球深部探査船「ちきゅう」によるCK14-04とCK16-01航海でのサンプルを分析した。3つの地点でホウ素同位体比の鉛直分布は異なったパターンを示す。参照サイト(C9021)では変動が小さく,海水の値(δ11Bが+37‰)から少しずつ大きくなる。一方、他の2つの地点では海底面下40 m以深でδ11Bは+15‰前後と低く、間隙水に熱水成分が混入していることを示している。
1)サンゴ骨格のホウ素同位体組成を用いた海水pH復元
ホウ素は海水中では主にB(OH)3とB(OH)4-の2つの形態で存在しており、pHによって存在比が変化するだけでなく、それぞれのイオンに含まれるB同位体比(11B/10B)も系統的に変化する。特にpH 7.5~9.5 にかけて、11B/10Bの変化幅が大きいため、pH 8程度の海水のpHの変動をみるのに好都合である。本研究では、太平洋の北赤道海流に位置する、グアムのサンゴ骨格の過去60年間のδ11Bの変動を調べた。かなり変動しているが、全体の傾向としては60年間で0.39 ‰ (pH換算で0.05- 0.08)の低下が認められた(Shinjo et al., 2013)。
2)沖縄トラフの海底熱水鉱床のホウ素同位体比
琉球弧の西方には沖縄トラフという細長い地溝状の海盆があり、活発な海底拡大が進行中である。いくつかの拡大軸付近では海底熱水鉱床が発見され注目を集めている。海底熱水域の堆積物層の間隙水について、ホウ素同位体の分析を行った(石橋ら, 2017)。間隙水は、海底の堆積層を構成する鉱物や堆積物粒子の間隙にある流体である。伊平屋北海丘の海底熱水活動域において、地球深部探査船「ちきゅう」によるCK14-04とCK16-01航海でのサンプルを分析した。3つの地点でホウ素同位体比の鉛直分布は異なったパターンを示す。参照サイト(C9021)では変動が小さく,海水の値(δ11Bが+37‰)から少しずつ大きくなる。一方、他の2つの地点では海底面下40 m以深でδ11Bは+15‰前後と低く、間隙水に熱水成分が混入していることを示している。