JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT52] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)

[MTT52-01] 極域におけるオーロラ活動と超低周波音との関連性の調査

*大畑 遥1山本 真行1 (1.高知工科大学大学院)

キーワード:オーロラ、インフラサウンド、極域

南極の昭和基地とその周辺に設置されたインフラサウンドセンサならびに昭和基地に設置された全天カメラから得られたデータから,オーロラ活動とインフラサウンドの比較解析を行った.

超高層大気中でオーロラから音が発生した場合,様々な周波数領域の中で減衰しにくい超低周波音(インフラサウンド)が地上まで到達する可能性が高いと考えられる.よってオーロラ帯に位置している昭和基地(69°0' 22" S,39°35' 24" E)および周辺地域に設置してあるインフラサウンドセンサを用いることで,オーロラから発生するインフラサウンドを観測できる可能性がある.本研究では,オーロラから発生しているインフラサウンドの特定を目的に,昭和基地で観測されるインフラサウンドと上空のオーロラ活動との関係性について,事例調査を行った.比較解析にあたり,全天カメラ画像については画像の変化率を導出するアルゴリズムを導出しプログラムを作成・使用した.インフラサウンドデータについては特定の周波数について検証を行うため,winデータをcsv形式に変換し,幾つかのバンドパスフィルタを試した上で周波数 0.03 Hz~0.01 Hz の帯域を適用した.

大規模なオーロラ活動が観測され、かつ地上風速が5 m/s以下の条件を満たすデータの抽出を行った.そのうち2016年6月にスカーレン観測点のインフラサウンドセンサで得られたデータからはオーロラの形状変化に対応した特徴的なインフラサウンドの波形を確認した.しかし2019年2月に観測開始された昭和基地内のインフラサウンドセンサから得られたデータの解析では終始風ノイズに埋もれてしまっており,今のところ有意な相関のあるデータを見出せていない.

長期の観測データの比較から,スカーレンで得られたインフラサウンドデータでは風速が3m/s以下の時に振幅が1Paを超えることは稀なのに対し,昭和基地への移設後に得られたインフラサウンドデータでは風速が3m/s以下の時であっても常に1Pa程度の振幅があることが明らかになった.これは設置場所による特性であると考えられ,屋内のセンサと屋外のセンサという違いによるものであると考えている.本発表ではこれまで得られたデータから,以上の結果おを報告すると共に今後の解析方法やセンサの選定についても議論を行う.