JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT52] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)

[MTT52-03] 雷鳴インフラサウンドの多地点観測によるエネルギー推定の試み

*山本 大誠1山本 真行1 (1.高知工科大学)

キーワード:インフラサウンド、雷鳴

高知工科大学(高知県香美市)周辺に設置した6台のインフラサウンドセンサにより、雷鳴の多地点観測を行い、雷鳴の波源位置推定およびイベント毎のエネルギー推定を行った。


 雷活動の分布と豪雨発生域には相関があることが知られており、これにより地域性のある気象メカニズムの解明や、豪雨被害の予想に有効と考えられる。先行研究により雷鳴の伝搬距離は15 km程度であると考えられ、これに基づき高知工科大学周辺に6台のインフラサウンドセンサを2019年11月より順次設置した。センサの設置間隔をおよそ15 km以内に設定し、波源位置推定に必要な3地点以上での同時観測を行えるよう設置した。波源位置推定方法としてTOA(Time of Arrival)法を用いた。



 2019年12月2日1:49に発生した311 kAの正極性落雷に伴う雷鳴に考えられる可聴音及びインフラサウンドについて3地点で同時観測を行うことができた。波源位置推定では、最も良い結果で㈱フランクリン・ジャパンから取り寄せたJLDN (Japanese Lightning Detection Network)落雷報告書との誤差は約700 mとなった。エネルギー推定では、落雷地点から7.0 km離れたセンサの観測結果では90 kJ、8.5 km離れたセンサでは724 kJと設置の場所や環境によると思われる大きな差が発生する推定結果となった。これは観測データが複数の音波イベントを拾っていると考えられ、どの時間範囲を1つの雷鳴と判断するかにより積分値が大きく変化することが主因であり今後の課題である。



 2019年11月下旬から2020年1月末までの2か月に、JLDN落雷報告書を元にセンサ設置エリア周辺での2日間の落雷計30例の落雷中13例の雷鳴について3地点以上の観測を行うことができた。2019年12月2日の観測結果では、可聴音 インフラサウンド観測データ中に複数の衝撃波イベントが混合し、波源位置推定およびエネルギー推定の解釈に難しさがあることも判明した。1月27日の観測では平均風速が14 m/sと強風により観測データ中のノイズレベルが強くなり、データの解析が困難となった。今後、データに対してローパスフィルタを掛けるプログラムを作成した解析についても発表する予定である。