JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT52] インフラサウンド及び関連波動が繋ぐ多圏融合地球物理学の新描像

コンビーナ:山本 真行(高知工科大学 システム工学群)、新井 伸夫(名古屋大学減災連携研究センター)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、乙津 孝之(一般財団法人 日本気象協会)

[MTT52-P04] 『2018年北海道胆振東部地震』によって発生した3種類のインフラサウンドについて

★招待講演

*野上 麻美1村山 貴彦1乙津 孝之1岩國 真紀子1 (1.一般財団法人 日本気象協会)

キーワード:インフラサウンド、地震音響波、レイリー波、包括的核実験禁止条約に伴う準備機関

2018年9月6日午前3時7分(日本時間)、震度7を記録する大地震(M6.7、深さ37km)が北海道胆振東部で発生した。北海道全土で大きな揺れを観測し、震源付近の山岳地帯では大規模な土砂崩れが起こった。CTBTOによって整備されたインフラサウンド観測所であるI30JPとI45RUにおいて、解析された到来方向が震源方向とその周辺に一致し、継続時間が20分程度の波形を観測した。

 大地震によって生成されるインフラサウンドとして、3種類のインフラサウンドがこれまでの研究で報告されている。1つ目は観測所まで到達したレイリー波によって生成されるインフラサウンドであり、これはI45RUと近くに併設されている同様にCTBTOの地震観測所であるUSRKにおいて、同時刻に周期20秒程度の非常に相関のある波形が観測されている。2つ目は地震発生時に震央付近の強い地面の上下動によって生成されるインフラサウンドであり、I30JPやI45RUの観測値から解析された到来方向は震央に一致し、成層圏と地表の間を数回折り返して伝播すると仮定した到達時間と矛盾しなかった。3つ目は表面波が山岳地帯を通過する際にそれらを振動させることによって生成されるインフラサウンドであり、観測所での観測値から解析された到来方向はおおよそ北海道全土に対応し、それらの観測時刻も2つ目の伝播経路の仮定と矛盾しなかった。

 この発表において、3種類のインフラサウンドの観測波形と卓越周波数や振幅、継続時間などの特徴を述べるとともに、解析された到来方向やインフラサウンドの到来時刻、見かけ伝播速度を使った音源場所の特定や伝播経路の考察を述べることとする。