[MZZ57-06] 北西太平洋のコバルトリッチクラスト周辺に生息するメガフォーナ及び端脚類の生物多様性評価への江戸っ子1号の応用
キーワード:コバルトリッチクラスト、江戸っ子1号、メガフォーナ、端脚類
本研究では、深海域でのメガフォーナの高解像度画像を取得し、コバルトリッチクラストを有する海山間での生物多様性比較を行うために、江戸っ子1号と呼ばれるフリーフォール型深海カメラランダーを用いた。その結果、アーノルド及びスクリプス海山(JA03・JA17海山)から、刺胞動物、環形動物、節足動物、棘皮動物、脊椎動物を含む32分類群を確認した。群集解析の結果、深度間で群集組成に顕著な違いがあることが明らかとなった。更に同時に、我々は自作のシリンダータイプのベイトトラップを江戸っ子1号に設置し、深海域においても多様化が進んでいる端脚類の採取も試みた。その結果、我々は、生活形質の異なるいくつかの種を含むであろう、多くの端脚類サンプルを採取することに成功した。これらのサンプルを対象に、COI DNAバーコーディングと分子レベルでの操作的分類単位を元にした群集解析においては、その群集は深度及び海山間で異なることを突き止めた。我々が今回実施した、コバルトリッチクラスト周辺での江戸っ子1号の試行は、今後深海開発プロジェクトにおける環境ベースライン研究や影響評価を促進する上での本装置の可能性を示すものである。