JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-02] 変化する気候下での強風災害にどう取り組むか

コンビーナ:松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境学域)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、和田 章(東京工業大学)、座長:和田 章(東京工業大学)

[O02-09] 異常強風下における土木構造物の挙動と将来への課題

★招待講演

*八木 知己1 (1.京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻)

キーワード:強風災害、橋梁、空力振動、気候変動

2018年,2019年は勢力の強い台風が上陸し,多数の強風災害が発生したことは記憶に新しい.土木構造物,特に橋梁構造物に着目すれば,2018年の台風21号で関西国際空港連絡橋への船舶衝突事故が発生し橋梁が通行止めとなった.しかし,橋梁への直接の強風被害で顕著なものはなかった.長大橋では強風下において様々な振動現象が発生することが知られているため,設計上は各現象に対して照査風速を定め,照査風速以下では橋梁が安全であることを確認している.この照査風速は,過去の気象データから確率統計的に算出された設計風速に,安全率をかけることで比較的高めの風速に設定されることから,通常橋梁構造物が強風で破壊することは考え難い.しかし,将来の気候変動により,台風の勢力がより強くなる,台風の来襲コースに変化が生じるようなことが現実となれば,この余裕がなくなってしまう可能性がある.

まず,異常強風下において,長大橋梁はどのような挙動を示すのかを紹介すると共に,将来の気候変動により照査風速以上の強風が作用するという想定外の事態が予測される場合,橋梁の耐風設計や維持管理にどのような課題があるのかを述べる.