JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P20] 播磨花崗閃緑岩マグマの固結過程におけるマグマ残液の循環

*高瀬 健斗1、*赤瀬 彩香1、*岩本 澪治1、*奥見 啓史1 (1.兵庫県立姫路東高等学校 科学部 マグマ班)

キーワード:播磨花崗岩、波状累帯構造、マグマ残液の循環

変成岩の角閃石の波状累帯構造研究の歴史は古く、マグマから角閃石が結晶化した後の変成環境を克明に記録していることが知られている。一方、火成岩の角閃石の波状累帯構造研究の歴史は浅く、マグマ分化末期の環境についてはまだよくわかっていない。筆者らは、角閃石の微細構造を発見することができれば、火成作用と変成作用を繋ぐ、マグマ分化過程末期の環境を推定することができると考えた。

兵庫県南西部姫路市-加古川市に点々と分布する播磨花崗岩類や、兵庫県南東部神戸市に広く分布する六甲花崗岩類の露頭調査を行った。両岩体は、ともに白亜紀後期に流紋岩質凝灰岩に貫入したものである。採取した花崗閃緑岩の薄片を作成して偏光顕微鏡で詳細に観察した結果、姫路市-加古川市に点々と分布する半径4km程度の島状の花崗閃緑岩体の角閃石から、微弱な波状累帯構造を発見した。本地域から初めての報告である。これにより、マグマ活動末期の環境を推定する端緒が得られた。この微細構造は幅数マイクロメートル程度の細い縞模様をなすものである。一方、神戸市に広く分布する花崗岩類の岩体からはひとつも発見することができなかった。

姫路市-加古川市の小岩体は、周囲の凝灰岩に熱変成の影響を与えていることから、地下に広がりをもつ岩体の周縁部であると考えられる。姫路市-加古川市の角閃石の波状累帯構造は、角閃石が結晶化した後マグマ残液の循環によって二次的にイオン置換が行われた結果形成されたことを示している。クロスラミナに似た形状は、マグマ残液が方向を変えて複数回循環したことを示している。山陰帯花崗閃緑岩のようなおびただしい発達ではないことから、その循環は強いものではなかった。一方、神戸市の花崗閃緑岩は、巨大な岩体の、少なくとも周縁部ではないと考えられ、マグマ残液の循環がおこなわれず、波状累帯構造を形成することができなかったと考えられる。