JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P22] 海洋生物の炭素同化作用における季節変化

*市川 大翔1黒澤 駿斗1阿部 龍志1 (1.宮城県利府高等学校)

キーワード:生物と海水塩分、海洋生物外骨格とCO2量

これまで利府高校で行ってきた松島湾の海水塩分濃度ならびにイオン計測から、塩分濃度やCa2+イオンなどが季節変動を起こしていることを見出していた。その変動は流入する淡水や海洋中の生物に影響されることは容易に想像できるが、その変動がCa2+イオンを取り込んだ石灰質の生物体ではどのような変化が見られるか、季節による変化を追跡し緩やかな関係があるようだ。
 ここでの海水中での炭素同化の過程では Ca2+ + CO3 2- → CaCO3 を前提としている。

 2019年より松島湾産牡蠣の牡蠣殻を用い、電気炉で900℃まで強熱すると質量は低下する様子を記録してきた。この低下質量をすべてCO2量とすると季節ごとに脱ガス量は44重量%から53重量%へ変化し、特に1月にその量が大きかった。これは殻に含まれるCaイオンもCO3との結合で多くなったと類推できる。

 また2018年以降、松島湾各所でのCaイオン濃度も計測している。その結果は7月を最高濃度とした後で3月に最低濃度となり、また春以降増加する傾向がみられているものであった。この海水中におけるCaイオンの増減の変化と、牡蠣殻やその他の貝類の炭素同化の時期(含まれるCO3量の変化の時期)には様々な時期の違いでずれが生じていた。例えば牡蠣殻は秋から1月にかけてCO2量の吸収が多い様子が見られた。その変化と海水中での炭素同化の機構について考察し、海水中におけるCO2の生物体による吸収のすがたについて言及する。