[O04-P38] スプライトの分光観測~ビデオカメラと回折格子による輝線の特定~
キーワード:スプライト、分光観測、回折格子
1.研究概要
地学部では屋上にビデオカメラ(Watec100N)(レンズ:12mmF1.2,8mmF0.8)2台を設置し、スプライトの観測を継続している。3年前から回折格子(エドモンド社製500本/mm)を用い、スプライトの分光観測を目標として、流星の輝線データを解析してきた。そして、2019年12月12日にスプライトの輝線データを取得することに成功した。
水銀ランプとナトリウムランプを用い、画像上の0次光から輝線までのピクセル距離と波長の関係を表す変換式を作成した。その変換式を用いて、スプライトの輝線の波長を求め、750nm付近のN2を検出することができた。
<スプライトとは>
スプライトとは1989年に発見された落雷が発生する際に、その上空の高度40㎞~90㎞で発生する一瞬の高高度発光現象のことである。
2.使用機材
・モノクロビデオカメラWatec100N(2台設置の内の1台)
・12mmのレンズに対物式グレーディングを装着(エドモンド社製600本/mm)
これらを本校屋上に北側を向けて設置した。
3.画像の補正
ダーク補正とスカイ引きを兼ねて、また、カメラレンズの特性があるので画像の補正を考慮した。まず、動画を静止画に変換する。次に、発光の前後10枚の平均画像を作成する。そして、発光画像から発光の前後10枚の平均画像を引き、解析用の画像とした。
4.座標から波長を求める式の作成
水銀ランプとナトリウムランプをそれぞれ画像上のスプライト発生位置に置き、観測と同様に分光して撮影した。その輝線をもとにして、画像上の0次光と輝線の距離(pixel)から波長(nm)を求める式を作成した。
y=1.23x-3.64 x:0次光と輝線の距離(pixel) y:波長(nm)
5.結果
それぞれのグラフの縦軸は、輝線の強度(感度較正はできていない)を表したものである。
先端部(図1)は輝線は暗いが細く、解析はしやすかった。750.3nm付近
中央上部(図2)と中央下部(図3)は明るいが太いため、グラフのパターンが似ている場所をターゲットにして解析を行った。755.2~754.0nm付近
どれも±2ピクセル=±2.5nm程度の誤差を含んでいるが、N2の輝線ではないかと思われる。
6.今後の展望
画角の周辺で捉えた対象なので、レンズの特性による画像の歪みを正確に考慮することにより、波長を正確に求めたい。
さらにスプライトを撮影を重ね、正確な結果を導きたい。
7.参考資料
大学生のための超明解教材 これで解決!シリーズ
窒素分子スペクトル http://www.isigas.com/N2SpectralProfile.html
8.使用ソフト
UFO CaptureV2
すばる画像処理ソフト「マカリ」
ステライメージ7
地学部では屋上にビデオカメラ(Watec100N)(レンズ:12mmF1.2,8mmF0.8)2台を設置し、スプライトの観測を継続している。3年前から回折格子(エドモンド社製500本/mm)を用い、スプライトの分光観測を目標として、流星の輝線データを解析してきた。そして、2019年12月12日にスプライトの輝線データを取得することに成功した。
水銀ランプとナトリウムランプを用い、画像上の0次光から輝線までのピクセル距離と波長の関係を表す変換式を作成した。その変換式を用いて、スプライトの輝線の波長を求め、750nm付近のN2を検出することができた。
<スプライトとは>
スプライトとは1989年に発見された落雷が発生する際に、その上空の高度40㎞~90㎞で発生する一瞬の高高度発光現象のことである。
2.使用機材
・モノクロビデオカメラWatec100N(2台設置の内の1台)
・12mmのレンズに対物式グレーディングを装着(エドモンド社製600本/mm)
これらを本校屋上に北側を向けて設置した。
3.画像の補正
ダーク補正とスカイ引きを兼ねて、また、カメラレンズの特性があるので画像の補正を考慮した。まず、動画を静止画に変換する。次に、発光の前後10枚の平均画像を作成する。そして、発光画像から発光の前後10枚の平均画像を引き、解析用の画像とした。
4.座標から波長を求める式の作成
水銀ランプとナトリウムランプをそれぞれ画像上のスプライト発生位置に置き、観測と同様に分光して撮影した。その輝線をもとにして、画像上の0次光と輝線の距離(pixel)から波長(nm)を求める式を作成した。
y=1.23x-3.64 x:0次光と輝線の距離(pixel) y:波長(nm)
5.結果
それぞれのグラフの縦軸は、輝線の強度(感度較正はできていない)を表したものである。
先端部(図1)は輝線は暗いが細く、解析はしやすかった。750.3nm付近
中央上部(図2)と中央下部(図3)は明るいが太いため、グラフのパターンが似ている場所をターゲットにして解析を行った。755.2~754.0nm付近
どれも±2ピクセル=±2.5nm程度の誤差を含んでいるが、N2の輝線ではないかと思われる。
6.今後の展望
画角の周辺で捉えた対象なので、レンズの特性による画像の歪みを正確に考慮することにより、波長を正確に求めたい。
さらにスプライトを撮影を重ね、正確な結果を導きたい。
7.参考資料
大学生のための超明解教材 これで解決!シリーズ
窒素分子スペクトル http://www.isigas.com/N2SpectralProfile.html
8.使用ソフト
UFO CaptureV2
すばる画像処理ソフト「マカリ」
ステライメージ7