JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P39] 柱状節理の断面の形状と溶岩流の粘性との関係

*高倉 幹太1 (1.海城高等学校)

キーワード:柱状節理、火山、溶岩流、地学、地質学

柱状節理は、溶岩流が冷たい大気に冷やされ体積収縮を起こしながら固まることでできる、冷却面に対して垂直方向の亀裂からなる柱状の火山地形である。一般に柱状節理の断面は正六角形になるとされ、理論的にも全てが正六角形となるのが自然である。しかし、実際の柱状節理を観察した時に、全ての断面が正六角形となっているわけではなく、五角形など歪な形をしたものも多いということに気がついた。そこで、理論的には存在しないはずの正六角形以外の形をしたものがどうしてあるのか、また柱状節理ごとに出現頻度の多い図形などの特徴はあるのかということを疑問に思い、本研究を始めた。まず、私たちは上記の疑問に答える仮説として、柱状節理を作った溶岩流の粘性が断面の形状へと影響を与えているのではないかと考えた。そしてこの仮説を立証するために以下の検証を行い研究を進めた。

まず、片栗粉を水に溶かしそれから水分を蒸発させることで体積収縮を起こさせ“柱状節理”を再現するという実験を行なった1)。また、同量の片栗粉に対して溶かす水分量を変化させ粘性の違いを再現した。そして作成したものに何角形がどのくらい含まれるのか出現頻度を“柱”ごとに近似しながら数えて他条件との比較を行うことで考察とした。予稿では詳細なデータについては触れないが、同量の片栗粉に対してより多くの水を混ぜたものの方が他と比べて角数の多い図形の割合が増加したことから、粘性が低い溶岩流からなるものほど角数の多い図形が多くなるということがわかった。

 次に、ボロノイ図形という図形に注目し、ボロノイ図形をPC上で作成してより多様かつ多くの回数再現実験を行うことを可能にした。ボロノイ図形とは任意の点とその隣接点を結んだ垂直二等分線から作られる図形のことで、柱状節理の形状が再現できるとされている2)。また、PC上での作成にはPythonとそのモジュールであるOpenCVを用いた。また、同一面積あたりにプロットする点の数を変化させ、これを「粘性」に対応する条件とした。こちらに関しても詳しい結果はここでは述べないが、プロット点を増加させた時(=冷却核の増加=粘性の高い溶岩流を再現)に五角形の割合が増加したため、粘性が低い時に多角形が増加するとした片栗粉実験の結果と矛盾しないものとなった。

 そして、実際の柱状節理でも片栗粉、ボロノイ図形の実験で得られた結果と同じことが言えるのかということを確かめるため、柱状節理をドローンで空撮しオルソ画像を作成、GISでの分析を行った。現在はGISでの分析を行っている最中であり結果に関してはJpGU当日に紹介させていただきたいと思う。また、行ったことすべてを踏まえた考察に関しても当日に紹介させていただく.

遠藤徳孝ら,地形現象のモデリング(2017) 太田晶仁ら, ドローンによる高精度3D モデルを用いた 柱状節理形態の統計的分析とその成因に関する研究 (2019)