JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P42] 三陸ジオパーク北部エリアの検討とジオの魅力を高め変動帯をわかりやすく伝える「ジオ紙芝居」の提案3 ジオサイト種市層

*木村 ひとみ1、*矢口 璃旺1、*坂下 恭梧1、*関端 あさひ1 (1.マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニア)

キーワード:ジオパーク、三陸ジオパーク北部エリア、種市層、地域活動、科学クラブ

三陸ジオパークは、青森県から宮城県にかけての太平洋岸に設置されている。マリエント「ちきゅう」たんけんクラブ・シニアの属する八戸市水産科学館マリエントはその北端部にある。筆者らは、平成30年度から郷土を学習する活動として三陸ジオパークについて学習してきた。巡検と観察、討論を元に協同学習を進め、知識の共有と情報発信の態度を育成するため「ジオ紙芝居」を作成し、実演してきた。その成果をJPGU2019と第10回日本ジオパーク全国大会2019おおいた大会においてポスターと口頭で発表してきた。

 令和元年度のジオパーク関係の活動では、岩手県久慈市の久慈渓流珀と久慈琥珀館、同県九戸郡洋野町の種市海浜公園、青森県八戸市の種差海岸と是川遺跡の5カ所のジオサイト(図1)と種市歴史民俗資料館、八戸石灰鉱山の予備学習、巡検とその振り返りであった。種市海浜公園と種市歴史民俗資料館の巡検と振り返りを元に協同学習を進めた結果、ジオサイト種市海浜公園の魅力を高める工夫をすることにした。その過程で、知識の共有と情報発信の態度を育成するためこれまで取り組んできた「ジオ紙芝居」を作成し、活用することとした。

岩手県九戸郡洋野町の沿岸部には、三陸ジオパークのジオサイト種市海浜公園がある(図1)。ジオサイト種市海浜公園は、窓岩・種市層カキ化石産地・種市層ウニ増殖溝から構成されるが、いずれも8500万年前頃(中世代白亜紀)の浅海性あるいは河口岸・湖沼性の堆積層を主とする種市層からなっている。種市層からはカキの化石のほかにもアンモナイトやクビナガリュウの頸椎化石が発見されていて、地質学的にも興味深い。また、種市海浜公園周辺の海食崖には、砂岩中の斜交層理やノジュール塊(写真1)など特徴的な景観を見ることができる(図2)。ウニ増殖溝は、ほぼ水平に広がる種市層の特徴を生かして、生産量日本一とも称されるウニ漁場をつくっている。しかしながら、主に漁業者への配慮で洋野町が三陸復興国立公園に含まれていないこともあって、あまり知られていない。

現地巡検を終えての振り返りで、種市層という名前が知られていない、地元出身だが斜交層理やノジュール塊石を初めて見た、増殖溝と種市層の関係が知られていないなど、分かりやすさや親しんでもらう機会の少なさなどの課題が出た。

しかし、身近にあって大地の歴史を学習するのに好適であり、観光による地域の振興につながるようその魅力を高める工夫が必要と考えた。そのために、大地のストーリー性を重視しながら、海と暮らしをつなぐことに留意して、わかりやすいジオ紙芝居を作成・実演して、広く訴えかけることにした。

題名は、「種市層って何」、「洋野町のウニはなぜおいしいか」、「ノジュールって何」、 「ウニ増殖溝」とし、分担して作成した。原画や説明は、以前に作成した物を参考にし、会員内で実演して何度も訂正を繰り返して作成した。ただし4月18日時点で、新型コロナウイルス(COVID-19)への配慮によりジオ紙芝居の公開・実演はできていない。また、ジオ紙芝居を元に、観察ルートの設定や観察ガイドブックの作成も検討することした。

 この活動を通じて、私たちは今も動いている大地に暮らしていて、その恵みを受けていることが理解できた。そして、大地の変化をむやみにおそれず、よく知って、それにそなえる知恵をジオパークから学んでいきたい。同時に新たなジオサイトやジオサイトを繋ぐジオストーリーを提案していきたい。そして、この考えを「ジオ紙芝居」を使って多くの人に伝えていきたい。

謝辞 
 この研究にあたり、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、八戸市、八戸市教育委員会、洋野町、国立研究開発法人海洋研究開発機構研究成果活用促進八戸市議会議員連盟、会員の所属する各高等学校はじめ多くの方々からご指導とご協力をいただいた。記してここに謝意を表する。