JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P48] 小浜池の水位変化パターンについて~水質と水位データからの考察~

*中田 明里1、*山本 綺羅1福士 小春1、*武藤 日菜向1 (1.静岡県立韮山高等学校)

キーワード:水位変化、池、電気伝導度

1.研究目的及び調査方法

三島市の楽寿園内にある小浜池は湧水によって形成され、古くから人々の生活と密接な関係があるがその水位変化は謎が多い。よって、水位変化の原因と小浜池湧水の周辺水脈との関係性を降水量,電気伝導度(以下EC)の2点から考察した。

三島市と御殿場市の過去(1958-2019年)のアメダス気象データ、小浜池(1958-2019年)と伊豆島田浄水場(2004-2019年)の地下水のデータを用意した。

続けて、①谷津(長泉)②富沢不動【愛鷹山】③窪湧水【黄瀬川】④谷田押切⑤竹倉【箱根】⑥小浜池⑦蓮沼川⑧菰池⑨三島梅花藻の里⑩源兵衛川⑪白滝公園⑫柿田川【三島溶岩=富士山】⑬伊豆島田浄水場(【】内は水脈を示す)以上13地点で採水し、ECを、マルチ化学センサ2(島津理化)を用いて測定したのちGISを利用して地図上に示した。



2.調査結果と考察

2-1 湧水のECについて

ECについては①④⑤の愛鷹山と箱根由来の地点で高い傾向がみられ、反対に全体として三島溶岩由来と伊豆島田浄水場で低い傾向がみられた。ECの差の原因は三島溶岩と箱根系の溶岩の新旧の違いに関係すると考えられる。一般的に溶岩が若いほど地下水の流動速度が大きいこと、岩石から溶け出すイオンの量が流動時間に比例することから、より古い箱根溶岩と愛鷹山の水脈においてECが高い傾向が見られたと考えられる。

したがって、古い溶岩の水脈と比べてECが低い伊豆島田浄水場の水は三島溶岩系、つまり小浜池と同水脈だと考えられる。



2-2 小浜池の水位変化パターンについて

(1)水位0mを超えると伊豆島田浄水場の水位変化に比べ、小浜池の水位上昇が鈍くなった。0mを超えると湧水が拡散するためだと考えられる。したがって、地下水の増減と小浜池の水位の増減を同等のものとすることはできない。

(2)降水量と小浜池の水位変化の関係を明らかにするため、2019年に発生した台風19号以後に着目してグラフを作成した。11月17日から18日にかけての御殿場市の降水量と小浜池の水位変化に相関性はないことに加え、御殿場市は小浜池が在る三島市から32.9kmあることから短期間(1~2日)では影響しないとした。

(3)小浜池の近くにある説明の看板に水位が150㎝を超えると満水とし、7~8年に一度満水になると書かれていたため、1958~2018年の小浜池の最高水位をグラフ化し事実を検証した。結果、満水である150㎝をこえた年は不定期であり7~8年に一度満水になるという記述は誤りであった。また、1970年までは毎年満水になっていたが1970年以降は満水にならない年が多くみられた。     

(4)2011年を境に小浜池の平均的な水位に変化がみられた。同年3月11日三陸沖を震源に発生した東日本大震災を原因とした地層の変化が影響したと考えられる。



3.今後の課題

2-2(1)について、湧水の拡散の事実を検証するため小浜池の水位が最下点に達する春頃に湧き出し口の調査を行う。

2-2(2)で述べた考察に加え、御殿場市の降水量と小浜池の水位変化の関係性の濃度をより明らかにするには長期的なデータの比較が必要である。

2-2(4)で記した考察を裏付けるために、同時期の他条件(気温や地下水の増減)を調べる必要がある。



4.参考文献

 三島市オープンデータ https://www.city.mishima.shizuoka.jp/ipn017227.html

気象庁 http://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html

伊豆島田浄水場水位のデータ



謝辞



本研究を進めるにあたり、伊豆半島ジオパーク推進協議会事務局専任研究員、鈴木雄介様に多大なご協力を賜りましたことを深く御礼申し上げます。