[O04-P49] ドローンによる高精度3Dモデルと片栗粉実験による柱状節理形態の統計的観測とその成因に関する研究
キーワード:柱状節理、高精度3Dモデル
Ⅰ 研究概要
<目的>
伊豆半島には柱状節理が多く存在する。貴重な地質遺産である柱状節理を統計的に解析することで柱状節理の成因、形成状況を解析するために本研究を行った。
<既存成果>
昨年は、比較的厚い溶岩やマグマ中にできた柱状節理を対象に研究を行い、柱状節理の角数が、冷却速度の均一さと相関があると結論付けた。
Ⅱ 実験、結果及び考察
1 浮島柱状節理
〈方法〉
伊豆半島にある浮島海岸の柱状節理に対して、ドローンを用いて空中写真を撮影、ソフトを用いて3Dデータ、オルソ画像を作成した。そこからQGISを用いてオルソ画像の判読を行い、232個の柱状節理のポリゴンデータを手作業で作成し、角数と面積データを収集した。縦軸を全体に対する個数の割合、横軸を角数としてグラフ化し、昨年度の柱状節理のデータと比較した。
〈結果〉
グラフを分析した結果から、昨年度調査した柱状節理は6角形が一番多いが浮島海岸の柱状節理は5角形が一番多いことが分かった。
〈考察〉
浮島海岸の柱状節理は薄い岩脈で形成されており冷却環境が悪いことが角数分布のばらつきに由来するのではないかと考えられた。
2 海外の柱状節理データの収集、解析
〈概要〉
海外の文献から世界の様々な柱状節理の角数分布に関するデータを収集し、グラフに
まとめ、国内の柱状節理との相関を調べた。
〈結果〉
文献からBurntisland dykeが薄い岩脈にできた柱状節理で、その他は厚い岩体にできた柱状節理であることが判明した。また、国内・海外の柱状節理の角数分布をグラフにまとめ分析した結果、比較的厚みのある岩体にできた柱状節理は6角形が一番多く、岩脈の薄いBurntisland dykeや浮島海岸は角数にばらつきがあることが分かった。
〈考察〉
Burntisland dykeと浮島海岸の角数のばらつきは、薄い岩脈でできており冷却環境が悪かったことに由来するのではないかと考えた。
3 片栗粉実験
〈方法〉
粉体と流体の混合物が乾燥し収縮するとき、溶岩が冷却され体積が収縮するときと同様に、核が形成され柱状節理となる。そこで、以下の手順で実験を行った。
水と片栗粉の混合物をプラスチック製容器に入れ乾燥させ人工的な柱状節理を作成。今回は片栗粉水溶液を乾燥させる段階で白熱電球を使用し、温度勾配をつけるために白熱電球を置く位置を三つのケースに分けて実験した。電球を容器の端に置いた場合電球を容器の中央に置いた場合インキュベータで均一に加熱した場合サーモグラフィーカメラを用いて温度勾配ができていることを確認形成される片栗粉柱状節理を手作業でボロノイ分割によってデータ化面積、角数、熱源からの距離などのデータを収集しグラフにまとめ分析
〈結果〉
データと作成したグラフを分析した結果、どの条件下でも全体の割合として6角形の度数が大きいと分かった。一方、温度勾配の大きい場所に着目すると、不均一に加熱した試料は熱源に近いところほど面積が大きくなり、ある一定のところまで離れると熱の影響が少なくなり、均一に加熱した柱状節理と同じようになることが分かった。角数においては、均一に加熱した場合は6角形が突出した傾向があるが、温度勾配を付けた場合では、均一に加熱した場合と比べて5角形と6角形の分布に差がなく、角数のばらつきが大きくなったことが分かった。
〈考察〉
加熱が均一でなかったことが柱状節理の角数の分布に関係しているのではないかと考えられる。
Ⅲ 全体を通しての考察
昨年度調査した柱状節理、浮島海岸、海外の柱状節理の統計から、岩体が厚い柱状節理ほど、角数分布にばらつきがなかったため、冷却速度が均一であることが、6角形が多く分布する条件であると考えられた。また、片栗粉実験で、加熱温度に不均一さを持たせた柱状節理には角数にばらつきが生まれたので、上記の考察を再現できることが分かった。さらに、加熱温度に不均一さを持たせることで、面積にばらつきができることも分かった。
Ⅳ 結論
柱状節理は厚い岩体ほど6角形が多く分布し、薄い岩脈では6角形の分布が少なくなり、全体的に角数のばらつきが大きくなる。また、岩体や岩脈の厚さによって冷却温度が不均一になり、面積にもばらつきが生じる。
Ⅴ 参考文献
・1、水口 毅、地形現象のモデリング海底から地球外天体まで 第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験、名古屋大学出版会,2017
・2、Paul Budkewitsch and Pierre-Yves Robin、Modelling the evolution of columnar joints、Journal of Volcanology and Geothermal Research
Volume 59, Issue 3, January 1994, Pages 219-239
・3、鈴木淑夫,岩石学辞書,朝倉書店,2005
<目的>
伊豆半島には柱状節理が多く存在する。貴重な地質遺産である柱状節理を統計的に解析することで柱状節理の成因、形成状況を解析するために本研究を行った。
<既存成果>
昨年は、比較的厚い溶岩やマグマ中にできた柱状節理を対象に研究を行い、柱状節理の角数が、冷却速度の均一さと相関があると結論付けた。
Ⅱ 実験、結果及び考察
1 浮島柱状節理
〈方法〉
伊豆半島にある浮島海岸の柱状節理に対して、ドローンを用いて空中写真を撮影、ソフトを用いて3Dデータ、オルソ画像を作成した。そこからQGISを用いてオルソ画像の判読を行い、232個の柱状節理のポリゴンデータを手作業で作成し、角数と面積データを収集した。縦軸を全体に対する個数の割合、横軸を角数としてグラフ化し、昨年度の柱状節理のデータと比較した。
〈結果〉
グラフを分析した結果から、昨年度調査した柱状節理は6角形が一番多いが浮島海岸の柱状節理は5角形が一番多いことが分かった。
〈考察〉
浮島海岸の柱状節理は薄い岩脈で形成されており冷却環境が悪いことが角数分布のばらつきに由来するのではないかと考えられた。
2 海外の柱状節理データの収集、解析
〈概要〉
海外の文献から世界の様々な柱状節理の角数分布に関するデータを収集し、グラフに
まとめ、国内の柱状節理との相関を調べた。
〈結果〉
文献からBurntisland dykeが薄い岩脈にできた柱状節理で、その他は厚い岩体にできた柱状節理であることが判明した。また、国内・海外の柱状節理の角数分布をグラフにまとめ分析した結果、比較的厚みのある岩体にできた柱状節理は6角形が一番多く、岩脈の薄いBurntisland dykeや浮島海岸は角数にばらつきがあることが分かった。
〈考察〉
Burntisland dykeと浮島海岸の角数のばらつきは、薄い岩脈でできており冷却環境が悪かったことに由来するのではないかと考えた。
3 片栗粉実験
〈方法〉
粉体と流体の混合物が乾燥し収縮するとき、溶岩が冷却され体積が収縮するときと同様に、核が形成され柱状節理となる。そこで、以下の手順で実験を行った。
水と片栗粉の混合物をプラスチック製容器に入れ乾燥させ人工的な柱状節理を作成。今回は片栗粉水溶液を乾燥させる段階で白熱電球を使用し、温度勾配をつけるために白熱電球を置く位置を三つのケースに分けて実験した。電球を容器の端に置いた場合電球を容器の中央に置いた場合インキュベータで均一に加熱した場合サーモグラフィーカメラを用いて温度勾配ができていることを確認形成される片栗粉柱状節理を手作業でボロノイ分割によってデータ化面積、角数、熱源からの距離などのデータを収集しグラフにまとめ分析
〈結果〉
データと作成したグラフを分析した結果、どの条件下でも全体の割合として6角形の度数が大きいと分かった。一方、温度勾配の大きい場所に着目すると、不均一に加熱した試料は熱源に近いところほど面積が大きくなり、ある一定のところまで離れると熱の影響が少なくなり、均一に加熱した柱状節理と同じようになることが分かった。角数においては、均一に加熱した場合は6角形が突出した傾向があるが、温度勾配を付けた場合では、均一に加熱した場合と比べて5角形と6角形の分布に差がなく、角数のばらつきが大きくなったことが分かった。
〈考察〉
加熱が均一でなかったことが柱状節理の角数の分布に関係しているのではないかと考えられる。
Ⅲ 全体を通しての考察
昨年度調査した柱状節理、浮島海岸、海外の柱状節理の統計から、岩体が厚い柱状節理ほど、角数分布にばらつきがなかったため、冷却速度が均一であることが、6角形が多く分布する条件であると考えられた。また、片栗粉実験で、加熱温度に不均一さを持たせた柱状節理には角数にばらつきが生まれたので、上記の考察を再現できることが分かった。さらに、加熱温度に不均一さを持たせることで、面積にばらつきができることも分かった。
Ⅳ 結論
柱状節理は厚い岩体ほど6角形が多く分布し、薄い岩脈では6角形の分布が少なくなり、全体的に角数のばらつきが大きくなる。また、岩体や岩脈の厚さによって冷却温度が不均一になり、面積にもばらつきが生じる。
Ⅴ 参考文献
・1、水口 毅、地形現象のモデリング海底から地球外天体まで 第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験、名古屋大学出版会,2017
・2、Paul Budkewitsch and Pierre-Yves Robin、Modelling the evolution of columnar joints、Journal of Volcanology and Geothermal Research
Volume 59, Issue 3, January 1994, Pages 219-239
・3、鈴木淑夫,岩石学辞書,朝倉書店,2005