JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P62] 気象データから見る衣替え―アメダスから考える私たちの制服と生活―

*千葉 日南音1、*石井 美咲1、*久保田 香帆1、*中尾 七海1 (1.千葉県立船橋芝山高等学校)

キーワード:気象データ、衣替え、気温、ヒートアイランド現象、校則、地球温暖化

本校の衣替えである10月初めは、夏服でないと過ごせないほどの暑さだった。そこで、10月の気温を調べたところ30度を越えた日があったことなどから、私たちは本校の衣替え期間は現在の気候の実態と合ったものであるのかと疑問を持った。
 はじめに、SNSを利用して、他校の友人に衣替え期間についてのアンケート調査を行った。その結果、本校の衣替え移行期間は、6・10月の1・2週間であるが、他校の移行期間は約1ヶ月であることがわかり、本校の移行期間は他校に比べて短いということが明らかになった。
 次に、気象庁のホームページからアメダスのデータをダウンロードし、平均気温を算出するなどして、グラフ化した。アメダスの位置は本校のある船橋、都市化による影響を比べることができると同時に海風による気温の変化などの影響が少ない内陸部の佐倉・龍ケ崎を選定した。さらに、グーグルストリートビューを参考に、アメダスの位置している場所が、道路沿いか、周りがコンクリート舗装ではないかを確認した。道路沿いであると排熱や排気ガス、コンクリート舗装であると蓄熱による熱気の影響が出てしまうため、その点に注意をしながら場所を選定した。
 各地点の、1978年(本校開設時)から2017年までの各月の平均気温を①1978年から1987年、②1988年から1997年、③1998年から2007年、④2008年から2017年の10年ごとに平均し、比較した。どの地点も40年間で1度以上気温が上昇していることがわかった。全地点の気温上昇の要因として、地球温暖化などの影響が考えられる。特に船橋は1.4度上昇しており、他の2地点と比較して気温の上昇が大きかった。その理由としては、3地点を1974~1978年と2017年の空中写真で比べると、船橋の都市化が進んでいることから、ヒートアイランド現象の影響が考えられる。
 さらに、船橋について詳しく調べた。はじめに、5・6・7月の日平均・日最高・日最低気温を①~④の期間ごとに平均したグラフを作成した。例えば、6月中旬から7月上旬においては、③と④の最低気温が①の平均気温を上回るなど、気温が上昇したことが顕著にわかる部分も確認できた。次に、5月上旬から7月下旬までを10日ほどで平均して上旬・中旬・下旬に区切り、①と④の最高気温と最低気温を比較したグラフを作成した。そのグラフから、①で5月下旬に出ていた気温が④では5月上旬に出るようになり、暑くなる時季が早くなったことがわかった。具体的には、①の5月下旬に最高気温23.0度・最低気温14.0度、④の5月上旬に最高気温が22.9度・最低気温13.8度となっている。同様に比較した9月上旬から11月下旬のグラフでは、①の10月上旬に最高気温20.4度・最低気温13.1度、④の10月中旬に最高気温20.1度・最低気温13.1度と、暑さが収まる時季が遅くなっていることがわかった。
 また、1978年以降の夏日・真夏日・猛暑日の数を年ごとに集計し、グラフ化したところ、増加する傾向にあることが明らかになった。なお、7月・8月に31日間すべて夏日以上となった年が増加していた。
 以上のことを3つにまとめると、1つ目に、10年ごとの月平均気温のグラフで①と④を比較すると、40年間で1度以上上昇し、特に船橋は他の2地点と比べ、気温上昇の差が大きいため、ヒートアイランド現象も関わっていると考えられる。2つ目に、船橋・佐倉・龍ヶ崎ともに気温が上昇しているため、3地点の気温上昇の原因はヒートアイランド現象だけではなく地球温暖化などの影響も考えられる。3つ目に、夏日以上の年間日数が増加している。また、各月ごとに見ても増加しており、特に衣替え付近の5・6・9・10月において激しく増加している。特に5月と10月に真夏日が出現するようになるなど、衣替えに影響が出そうな時期に増加している。これらのことから、本校開設時と現在が同じ気象環境とは言えないため、「衣替えを6月1日・10月1日から5月上旬・10月中旬に変更する」または「自分の判断で夏服か冬服を着用する」とすることが最善の策ではないかと考えた。
 最近、ブラック校則が話題になっている。今回研究した衣替え期間が気候の実態と合っていないということもブラック校則だと考えている。さらに、気候についての話題は、ニュースや新聞などでは見たことがないため、新たな切り口なのではないかと気が付いた。気候の実態に合った校則に改善していくため、学校生活をより良いものにしていくために私たちは今、動き出した。