JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

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[O-04] 高校生によるポスター発表

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻 地質・地球生物学講座 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(気象庁)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

[O04-P67] 流星群の自動観測・通知システムの開発
~Arduinoを用いた流星シグナルの検出とデータ出力~

*佐藤 弘一1、*大熊 順正1 (1.中央大学附属中学校・高等学校)

キーワード:流星電波観測、自動観測装置、Arduino

<はじめに>

 一般的に、流星電波観測は、特定の周波数の受信が可能な受信機とアンテナを用いた手法によって世界中で取り組まれている。これは、流星が大気圏を通過した際に起こる電離現象によって、地上から発信されたある周波数帯の電波が反射されるという特徴を活かした観測手法(HRO/FRO)である。この手法で観測された流星データは流星観測用のソフトウェアであるHROFFTによって画像ファイルとして出力される。また、流星数は流星エコ―の個数またはActivity Level(観測したエコー数と過去2週間の同データ平均値との差分)を基準としてカウントされる。これらの手法は「誤差を小さくするためのデータ数の確保が必要であること」が課題として指摘されている。また、従来の流星電波観測手法は、受信機などの機器やシステム等を構築しなければならず、高コストであるといえる。そこで私たちは、誰でも容易に流星群を観測できることを目的とし、「自動観測」および「流星情報の速やかな通知システム」の実現を目指す新たな流星群の自動観測・通知システムを検討した。

<手法>

 本システムは、2素子アンテナと受信機による流星電波観測セクションとArduinoとPCによる解析セクションで構成される。本研究では、流星出現時に観測された音声データ(周波数と音量)に着目した。音声解析ソフト(WaveSpectra)とArduinoにおけるFFTライブラリ(高速フーリエ変換)を用いて流星の音声データを解析し、流星出現を示すシグナルとして通知するシステムの構築に取り組んだ。

<結果と考察>

 流星電波を受信した際の音声データ(周波数と音量)と公開されている観測データ(HROFFTにより出力された画像ファイル)を比較・解析し、流星出現のシグナルは495 Hzにピークを持つ受信音かつ取得データ平均値の約5倍以上の音量による検出が最適であるとわかった。また、流星出現を示すシグナルを自動で検出し、PC画面上へ通知できるプログラムを開発した。さらに、流星出現シグナルの定量データを数値化・テキストファイル化し、出力することができた。以上のことから、流星電波観測からデータ出力までの一連の流れを完全に自動化するシステムを構築することに成功した。また、流星出現シグナルの特定と自動観測・解析によって、定量的かつ安定したデータ収集が確立された。

<結論と今後の展望>

 本研究によって開発したシステムにより、従来の流星電波観測手法および定量的な流星電波のデータ出力の自動化が実現した。今後は、本システムにより取得・解析した流星出現シグナルを「流星の発生情報」として一般向けに通知するアプリケーションの開発を目指し、誰もがより容易に流星群の観測を楽しめるような仕組みを作りたい。