JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

2020年7月12日(日) 16:00 〜 17:30 Ch.2

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)、座長:郡山 鈴夏(山陰海岸ジオパーク推進協議会)

17:00 〜 17:30

[O05-06] 地震と地形と日本のジオパーク

★招待講演

*平松 良浩1 (1.金沢大学理工研究域地球社会基盤学系)

キーワード:断層、景勝地、地震災害

日本列島に働く水平方向の力は約300万年前に伸張から圧縮へと大きく変わった。この圧縮力は現在私たちが目にする価値ある地形を各ジオパークに与える大きな要因の一つである。この圧縮力は人間社会に大きな災害をもたらす大地震を引き起こす要因でもある。

地震は地下の断層運動により起こる。この断層運動は地面の隆起と沈降を生じ、それが繰り返されることにより様々な地形、すなわち山脈、平野、盆地、段丘、扇状地などが形成され、景勝地となっている。日本のジオパークがもつ多様性は地質の多様性のみならず、長短様々な時間スケールでの地震活動によって作られている地形の多様性にもあると言っても良いであろう。

日本のジオパークの特色として、自然災害の伝承および防災への取り組みがある。大地震に伴い現れた地表地震断層や断層崖、激しい地震動による崩壊地はジオサイトとして整備され、過去の地震や津波の記念碑はその伝承とともにジオパークの活動に利用され、将来起こりうる地震災害に対する教育の場となっている。

断層は地震を起こすだけではなく、人々の暮らしに潤いを与えている。断層は水の通り道でもあるため、断層沿いには名水や温泉地が存在する。断層が作る谷地形は、人と物を運ぶ街道として利用された。断層運動によって作られた多様性のある地形は、気候的特徴と相まって、各地の名産品の産地やアウトドア活動の場にもなっている。

日本の歴史は自然災害との共生の歴史でもある。私たちが生きる大地の下では日々地震が続いている。そのような地震と付き合って暮らす知恵は伝える努力無くては消えてしまう。ジオパークを通じて大地の成り立ちを知ることは、過去に目を向け、現在を理解し、未来を考える営みである。