JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P07] 四国西予ジオパークで初めて実施された体験活動を主とした留学生向けジオツアー

亀井 友斗2村上 慶太2村上 雄一2、*榊山 匠1土居 文人1高橋 司1榊原 正幸2,3 (1.西予市役所、2.愛媛大学社会共創学部、3.総合地球環境学研究所)

キーワード:ジオパーク、西予市、ツーリズム、外国人観光客、持続可能な開発

ジオパークの中には「ジオサイト」と呼ばれる、認定エリアの中でも自然科学的、人文・社会科学的な価値の高い場所がある。ジオパークで行われる観光(ジオツーリズム)は、日本の場合ジオサイトの見学とガイドによる解説を中心として取り組まれてきた。しかしながら、ジオサイト見学を主体としたツアーを外国人対象として行う場合には、(1)英語で解説できるガイドが少ない、(2)解説はガイドから参加者への一方的な情報伝達となりがちで、双方向のコミュニケーションの場となりにくい、(3)外国人観光客が楽しみとしている地元ならではの文化的体験ができない、といった課題が想定される。四国西予ジオパークにおいても、外国人観光客を対象としたジオツアーの実施機会はこれまでなく、また外国人が観光に訪れるにあたっての施設の改善や英語の話せるガイドの養成も行われていない。その一方で日本人観光客も平成30年7月豪雨の被害を受けて前年度の半分以下の件数となっており、観光客数の回復や新たなツアー開発といった対策を必要としていた。

そこで四国西予ジオパークにおける観光客層の拡大を図り、体験活動を西予市の地域住民の観光産業の持続可能性を高めるために、四国西予ジオパーク初となる留学生向けのジオツアーを企画した。愛媛大学の留学生とその家族、計10名を対象として2019年12月22日から23日にかけて1泊2日の日程で実施した。ツアープログラムは、英語が堪能でない日本人が案内しても楽しめるように体験活動が中心となるように配慮した。参加者は、石灰岩で築かれた段々畑でのみかん収穫体験や、リアス海岸で養殖された真珠の加工体験、広大な盆地の稲作によって発展した伝統的な町並みにおける日本の伝統行事を体験した。また体験場所に関する解説はツアー用に作成した小冊子の事前配布や現地到着時の簡潔な説明など必要最低限にとどめた。

本ツアー終了後に行ったアンケートを行った。その結果、回答いただいた7名のうち6名がそれまでジオパークについて「よく知らない」、あるいは「初めて聞いた」という回答であった。対してツアー参加後のジオパークの理解について3名が「とてもよくわかった」、4名が「わかった」と答えた。また満足度についても5名が「とても満足した」、2名が「満足した」というように参加者からの高い満足度を伺うことができた。一方で体験活動に偏ってしまったことによって、四国西予ジオパークがどのような地質学的、地形学的なサイトの見学と解説も必要と感じたという意見もいただいた。今回の取り組みだけでは、外国人観光客全体にとってツアーの満足度を評価することや、受け入れ側の収益向上をもたらすかどうかという評価はできない。今後継続して実施していくことで本ツアーが地域の持続可能な開発に資するものかどうか定量的に評価していきたい。