JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[J] ポスター発表

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P25] 磐梯山ジオパークにおける防災ジオツアー -長瀬川の氾濫と磐梯山噴火との関係-

*竹谷 陽二郎1佐藤 公1,2蓮岡 真1 (1.磐梯山ジオパーク協議会、2.磐梯山噴火記念館)

キーワード:磐梯山ジオパーク、防災、長瀬川

2019年10月に発生した台風19号による激しい降雨は,東日本に大きな洪水被害をもたらした.福島県でも32名の方が亡くなるという大きな人的被害があった.災害に備えて各地で精度の高い洪水ハザードマップが整備されつつあるが、その普及が十分でなく、避難指示の遅れ、避難の遅れ、安全という思い込みなどが被害を増大させたと考えられる。
単に洪水ハザードマップをもとに、非常時に避難する体制を整えるだけではなく、地域の住民が,河川の歴史を知り、水流の特性や洪水のメカニズムを理解しておくことが、災害に対する備えをする上で重要である.
日本では噴火・地震・台風などの自然災害が多く発生し、日本ジオパークネットワークでは防災を目標のひとつとして特に力を入れている。磐梯山ジオパークでも,これまで磐梯山の火山防災の普及を中心に進めてきたが,今回の洪水被害をきっかけに,火山活動だけではなく河川をテーマとした防災にも力を注ぎたいと考える.
当ジオパーク内にある長瀬川は,磐梯山北側の山岳からの支流を集め,磐梯山の東麓を南流し猪苗代湖に注ぐ,猪苗代湖に流入する最大の河川である.長瀬川は湖の北側に広大な猪苗代平野を形成し,この地域の人々の生活や産業に大きく役立ってきた.その反面,たびたび氾濫しその流路を変え,流域の村々に被害を与えてきた.伝承では,長瀬川の流路がかつては現在と大きく異なっていたと伝えられている.磐梯山の火山活動も長瀬川の河道変動に多大な影響を与えてきた.特に1888年の磐梯山噴火では,山体崩壊により発生した大量の土石が長瀬川に沿って流れ,それにより河口の三角州を伸長させた.また河川沿いに堆積した厚い土石が河床面の上昇をもたらし,氾濫がたびたび起こった.中でも1913年の洪水では,流域の堤防5ヶ所が決壊し,64名の方が亡くなっている.その後,長瀬川上流の湖に水位を調節するダムが建設され治水が進んだが,氾濫の危険がなくなったわけではない。
長瀬川流域を巡るツアーを,2020年の「地質の日ジオツアー」として実施する.長瀬川のかつての古流路,現在の流路と氾濫原,磐梯山噴火により流下した土石で形成された三角洲と段丘,洪水に対処した住民の努力などを参加者が体験できるツアーとしたい.この活動を通して,地域の住民による防災意識の向上へ繋げていくと同時に,防災分野における日本ジオパークネットワークとの連携を深めていきたいと考える.