JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[O-05] 日本のジオパークから日本列島の成り立ちを知る

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)、市橋 弥生(佐渡ジオパーク推進協議会)、今井 ひろこ(コムサポートオフィス/和歌山大学国際観光学研究センター)、小原 北士(Mine秋吉台ジオパーク推進協議会)

[O05-P41] 科学館で上映する「ジオパーク映画」の教育効果

*野寺 凜1,2 (1.黒部市吉田科学館、2.一般社団法人立山黒部ジオパーク協会)

キーワード:立山黒部ジオパーク、科学館、プラネタリウムドーム、教育

1.はじめに
黒部市吉田科学館は、富山県の黒部市に位置する科学館である。当館は、立山黒部ジオパークの拠点施設の一つとして位置付けられており、ジオパークを活用した様々な教育活動を行っている。また、当館では、直径20mのプラネタリウムドームを用いて、様々な番組を上映している。当館で上映している番組の一つには、立山黒部ジオパークを題材とした「剣の山」がある。本稿では、本番組の概要、および本番組の観覧者に対するアンケートの結果を示す。



2.「剣の山」の概要
本番組は、黒部市および有限会社ライブによって制作された科学番組である。本番組は、立山黒部ジオパークを舞台とした実写ドラマである。本番組は、全天周映像の仕様であり、プラネタリウムドーム全体に映し出される。本番組の内容は、幼いころに山で父を亡くした主人公が、仲間たちとの登山を通し、立山および黒部の自然に触れ、自身と山の関係を見つめ直すという運びとなっている。
当館では、休館日を除き、本番組を一日一回上映している。また、当館では、2018年10月より、黒部市内の全小学校の6年生に対し、本番組の学習投映の機会を設けることとした。



3.アンケート結果について
当館では、本番組の学習投映の際に、観覧した児童全員へのアンケートを実施した。本アンケートの実施方法については、本番組の観覧前に事前アンケートに答えていただき、観覧後に事後アンケートに答えていただくこととした。本アンケートの内容は、本番組で取り扱う理科の各分野について、興味の度合いを1(大変興味がある)、2(まあまあ興味がある)、3(普通)、4(あまり興味がない)、5(全然興味がない)の5段階で答えるものとした。また、事後アンケートには、本番組に対する評価を5段階で示す項目や、感想などを答えるための自由記述欄を設けた。
アンケートの結果は以下の通りである。事前アンケートでは、水、岩石、地形、地球、宇宙、生物の6分野の興味の度合いを平均すると、それぞれ2.7、2.9、2.6、2.2、2.1、2.3となった。一方、事後アンケートでは、それぞれ2.3、2.5、2.3、2.0、2.0、2.2となった。自由記述欄には、「山が変化することを初めて知った」という意見が多く見られた。



4考察
事前アンケートおよび事後アンケートの結果から、本番組は、地質学や地形学の分野について、小学生の興味を引く上で適切な教材であると考えられる。また、本番組では、地形の時間変化についても、小学生にイメージを伝えられていると考えられる。
以上のことから、ジオパークでの啓発活動は、プラネタリウムなどの科学館施設と連携することにより、より高い教育効果が得られると考えられる。